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魔法使いの家  作者: 咲夜
3/5

配達係のリーナ

森で記憶を失った私は、

ある一軒の小さな家に住むトワさんと出会う。

トワさんは私の記憶探しに手伝うと、言ってくれた。


ここにきて1ヶ月が経った。

いまだに記憶の手がかりが掴めない。

洗濯物を一枚ずつ干しながら、ため息をひとつつく。

このまま記憶が取り戻せなかったらどうしよう?

「……いてっ!どいて~っ!!」

「え?」

そんな声と共に、地面が揺れる。

地震!?

「きゃーっ!!早くそこどいて~っ!!」

声のする方を振り向く。

大きな鳥がこっちに向かって突っ込んでくるっ!?

避けようと思ったが、時すでに遅し。

そのまま衝突してしまった。

「きゃーっ!!」

何が起こったのか分からない。

けど、私はそんなことを考えるよりも先に意識を失っていた。





「んっ……。」

眩しい。

目を開けると、天井と電気が見えた。

「あ!良かった~、気がついたんだね!?」

いきなり私に見知らぬ女の子が飛び付いてくる。

「うっ…、苦しいです……。」

「あ、ごめんね!私はリーナ。ここには配達でたまに来るんだ♪よろしくね!!」

彼女はそう言うと、無邪気な笑顔で笑った。

「あ、よろしくお願いします。」

「ところで、あなたの名前は?」

「私の名前は……マヤ。」

思い出したわけでもないのに、私は答えることができた。

私、マヤっていうのか……。

「マヤ……。」

何かこの名前に思い当たることがあるのだろうか?

彼女は少し険しい顔をした後、すぐにまた無邪気な笑顔に変わる。

「目、覚めたんだね。」

奥からトワさんが3人分のコップをお盆に乗せてやって来た。

「トワ、本当にごめんね!!トワの恋人さんに私はなんてことを……。」

そう言うと、リーナさんは泣き真似をする。

「やめてくれないか?この子は恋人じゃないからね。」

「あ、トワさん!私、マヤです!」

私は自分の名前を思い出したことを、トワさんに報告する。

「え?」

「私の名前です!私、マヤっていうんですよ!!」

「……そう。良かったね、自分の名前が思い出せて。」

トワさんはそう言うと、ひどく傷ついたような顔をして、また部屋の奥に消えようとする。

「あ……。私、またトワさんを傷つけてしまったんですね。ごめんなさい……。」

「……どうして君が謝るの?」

「だって、私が来た時も、すごく悲しい顔をされていましたから。」

「……別に。君が悪いんじゃない。悪いのは……僕だから。」

トワさんはそう言うと、部屋の奥へと消えてしまった。

「……ねぇ、マヤ。トワの秘密知りたくない?」

さっきまで黙って私達の会話を聞いていたリーナさんが私に話しかける。

「トワさんの、ですか?」

「そう。トワの過去とか、部屋の奥の部屋とか。」

確かに知りたい。

トワさんは自分のことを話してくれないから。

それに、あの奥の部屋のことも。

トワさんは「あの部屋には絶対入るな」って言ってたけど、ずっと気になっていた。

「教えてください、リーナさん。」

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