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召喚された先で飼い猫が最強でした 〜社畜の俺、猫耳美少女たちと聖獣を救う旅へ〜  作者: マロン
第三章:召喚された先でネズミの神様を救いました
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【3-9】 子ノ神の町を旅立ちました

 翌朝。

 心地よい鳥の声に起こされ、宿屋の窓を開けると、柔らかな風がカーテンを揺らした。

 昨日まで騒がしかった町が、今は穏やかに息をしている。


「……なんか、平和って感じだな」

 深呼吸をすると、パンの焼ける香ばしい匂いが漂ってきた。


「おはようございます、ご主人」

 うららがにこっと笑いながら、支度を終えたチャチャと並んで部屋に入ってくる。

 コハルはまだベッドの上で毛布にくるまっていた。


「コハル、起きろ。出発するぞ」

「……うるさい。あと五分」

「子供かお前は」

「猫だし」

 布団の中からくぐもった声。

 寝癖のままの尻尾がベッドの隙間からぴょこんと出ていて、なんだか笑えてくる。


 ようやく全員が身支度を整えると、宿の主人が朝食を運んできてくれた。

 焼きたてのパンに香草バター、煮込まれたスープ――シンプルだけど、温かい。


「旅立つ前に腹ごしらえを」と笑う店主の言葉に、

 うららとチャチャは「いただきます!」と揃って手を合わせた。

 コハルはまだ眠そうにスープをすすっている。


「……働いてないのに、こんなに美味い飯を食っていいのか……」

「また始まった〜、社畜発言ですよ」

「だって罪悪感あるんだよ……」

 ため息をつく俺に、チャチャがくすっと笑う。


 食事を終え、宿を出ようとすると、外では町の人たちが集まっていた。

 誰もが笑顔で手を振り、子どもたちは口々に叫ぶ。


「ありがとう、お兄ちゃんたちー!」

「子ノ神様を助けてくれてありがとう!」


「お兄……ちゃん……?」

 思わず遠い目をする俺。

 うららが微笑んで小さく肩をすくめた。

「良かったですね、ご主人。“おじさん”じゃなくて」

「やめろ……刺さる……」


 そこへ町長がやってきて、丁寧に頭を下げた。

「改めて礼を言わせてもらう。おかげで町は救われた。本当にありがとう」


 そう言って、町長は手のひらほどの革袋を差し出した。

「これは“旅の餞別”だ。せめて次の道の足しにしてくれ」


「い、いいんですか!? ありがたく頂きます!」

 思わず深々と頭を下げる俺。

 こういうところだけは、社会人の癖が出る。


「ところで……」

 町長が少しだけ声を潜める。

「南に行くなら、気をつけなさい。あちらの国境近くでは“猫人族”への風当たりが強いと聞く」


「風当たり?」

 うららが小首をかしげる。


「昔話だよ」

 町長はゆっくりと続けた。

「この世界ができたばかりの頃、創造神様が十三の聖獣を呼び寄せたという。

 だが――猫だけは最後まで姿を見せなかったそうだ」


「……猫が、来なかった?」

「ああ。そのため猫は十二聖獣から外され、以後“気まぐれな種族”として忌まれるようになった。

 もっとも、今では古い信仰の名残だがな」


「……なるほどね」

 コハルが静かに呟く。

 だがその尻尾が、ほんの少しだけピクリと動いた。


(創造神、十二聖獣、猫……どこかで聞いたような話だな)

 心の中でぼんやりと呟きながら、俺はふと左手に目をやる。


 ――その瞬間だった。


 手首に、かすかなぬくもりが伝わった。

 巻かれた「聖珠連環」が、ほんの一瞬だけ光ったような気がした。


(……気のせい、か?)

 だけどなぜか、胸の奥がじんわりと温かくなる。

 まるで――子ノ神が「見ている」と言っているかのようだった。


「アンタ、何ニヤニヤしてんのよ」

「ん? ああ、いや……なんか、旅が始まるって感じでさ」

「ふーん。へぇ。そう」

 コハルがそっぽを向く。けれど、耳だけがほんの少し赤くなっていた。


「よーし! じゃあ行きましょう、ご主人!」

 うららが笑顔で手を伸ばす。

 チャチャは小さく伸びをしながら欠伸をした。


「ふわぁ……また旅かぁ。でも、なんだか楽しみですね〜」


「……楽しみか。そうだな」

 俺は小さく笑って、青い空を見上げた。


 風が吹く。

 森の向こう、南の地平に雲が流れていく。


 ――そこに、次の聖獣が待つ。


 そして俺たちの旅は、また一歩、前へ進む。

申し訳ありません。

勉強の為、しばらくお休みをさせていただきます。

楽しみに待っていただいてる皆様には申し訳なく思いますが、ご理解の程お願い致します。


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