表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚された先で飼い猫が最強でした 〜社畜の俺、猫耳美少女たちと聖獣を救う旅へ〜  作者: マロン
第三章:召喚された先でネズミの神様を救いました
17/18

【3-8】新しい朝を迎えました

 朝。

 窓から差し込む光が、やけにまぶしく感じた。

 昨日までの慌ただしい一日を思い出して、俺は大きく伸びをする。


「……あー、寝たなぁ」

「ご主人、もう起きてたんですか〜?」


 うららがあくび混じりに顔を出す。寝癖のままの猫耳が、ぴょこんと跳ねていた。


「朝ごはん、下で食べていいって言われたんですよ〜」

「おう、じゃあ行くか」


 階段を降りると――食堂は、もう賑やかだった。

 木のテーブルには朝食を取る客たち、香ばしいパンの香り。

 ……そして、あちこちで「猫だ!」「かわいい!」の声。


「おいおい……」

 思わず苦笑した。


 チャチャは窓際の椅子で寝落ちしており、尻尾だけがぴくぴく動いている。

 うららは別の席で客のおばさんたちの話を相槌を打ちながら聞いていた。

 どうやら“愚痴聞き役”になっているらしい。


「うんうん、わかります〜。うちのコハルちゃんも口が悪くて〜」

「ちょっと! 誰が口が悪いって!?」


 振り向くと、カウンターでコハルが宿の主人と口論していた。


「まったく、猫人族ってのはほんと気が強いな」

「はあ!? 何その言い方!」

「やれやれ、看板猫には向かねぇな」

「誰が看板猫よ!!」


 尻尾をブンブン振るコハル。

 宿の主人は苦笑しながら「はいはい」となだめている。


(朝から元気だな……)


 俺はため息をつきながら近づいた。

「ほらコハル、落ち着けって」

「落ち着いてるわよ!」

「いや、尻尾が暴れてる」


 そう言って、俺はコハルの頭に手を置いた。

 柔らかな髪の感触。

 撫でるたびに、ぴくぴくと耳が動く。


「ちょ、ちょっと……やめなさいよ……!」

 顔を赤くして抵抗するが、しばらくすると力が抜けていく。


「ほら、いい子」

「子ども扱いしないで!」


 食堂の客たちがくすくすと笑い出した。

 中には「いいご主人だなぁ……」と感心してる人までいて、俺は顔を真っ赤にする。


(なんで俺、朝からこんな羞恥プレイ……)


 そんな中――

 扉の外から、子どもたちの声が聞こえた。


「いたー! 昨日の猫のお姉ちゃんたちだー!」

 駆け込んできたのは、数人の小さな子どもたち。

 うららが笑顔で迎え、チャチャは半分寝たまま抱きしめられていた。


「わぁ、ふわふわ〜!」

「耳も動いたー!」

「尻尾すごーい!」


「ちょ、ちょっと触らないでよっ!」

 コハルが慌てて逃げ回るが、子どもたちは容赦ない。

 あっという間に囲まれ、耳をいじられ、尻尾を掴まれて――


「にゃああああ!? や、やめろぉぉぉ!!」


 ……数分後。

 

 コハルが椅子の端に座り込み、俺の膝に額を乗せてぐったりしていた。

 

「もう……あの子たち、元気すぎ……」

「おつかれさん、看板猫にはハードモードだったな」


 俺は笑いながら頭を撫でた。

 ふと、外を見ると――

 通りにも子どもの姿が多いことに気づく。


「……なんか、子どもが多いな」

「はい。この町では“子ノ神様は“子育ての神様”として信仰されてるみたいですよ」

 うららがにこっと微笑んだ。

「だから、子どもたちが元気なのは、神様のおかげなんです」


「なるほどな……守り神、か」

 昨日の“子ノ神”の顔が、ふと脳裏をよぎる。


 あのもふもふした毛並み。

 そして――

『撫でられるというのは……良いものだな。』

 思い出して、思わず吹き出した。


「ご主人、どうしたんですか?」

「いや、なんでもない。ちょっと……思い出しただけ」


 子どもたちの笑い声が響く中、どこか穏やかな時間が流れていった。


 ──夜。


 ランプの明かりが静かに揺れる部屋で、俺はベッドの上に座っていた。

 窓の外では、虫たちの小さな音色が聞こえる。


「十二聖獣を助ける旅、か……」

 ぽつりと呟いた。

「……俺にできるのか?」


 胸の奥が、少しだけ重くなる。

 そんなとき、背中に柔らかなぬくもりが触れた。


「……うらら?」

「ご主人、大丈夫ですよ」


 うららが優しく微笑む。

「ご主人がいたから、子ノ神さまも助かったんです。

 ……だから、これからもきっと、大丈夫です」


 その言葉に、不思議と心が軽くなった。


「……ありがとな」

「ふふ、どういたしまして〜」


 うららがそっと背中を撫でる。

 まるで“逆もふもふ”されているような温かさ。


 そのまま、静かな夜が更けていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ