9.俺は自分の行為の振り返りをさせられることになりました
エメラルドは落ち着いて立ったまま、座った俺に語りかけてきた。
『あなたの行為は、嫌がる相手に性的行為を強いるもので、相手にとって屈辱的で危険な行為です。
法的にも、倫理的にも、厳しく禁じられています。
以前、使用人のパットさんから報告が有りましたが、あなたはパットさんの身体も触ろうとしたそうですね。
どうして、そのように、相手の気持ちを無視した行動をするのですか』
(寂しいからだ……。俺は寂しいんだ。どうして俺だけが寂しいんだよ!)
口で説明する前に、心の中で考えていた。
『努力はしたの? 寂しさを解消するための努力はしたの!?』
いつの間にか、彼女の口調は変わっていた。
(努力は、したと思う。ちゃんと仕事をし、税金を納め、若い頃からできるだけ他人に不快感を与えないよう行動してきた。
だが、俺は出世もしないし、モテないし、結婚もできないじゃないか。
生きるために……生活するためだけに生きるような人生がどこまでも続くだけで、クソみたいな現実しかないじゃないか!)
『だからと言って、他人に性的行為を強要してもいいの!?』
(それは、いけないのかもしれない)
『どうして、いけないと分かっていることをしたの』
(寂しいんだ! 何も無い自分が寂しいんだよ!)
同じような会話の繰り返しになり、興奮し、全力で玉座から立ち上がろうとしたが、身体が固定され、座ったまま口を動かして怒鳴るくらいしかできなかった。
「クソヤロウ! バカ!
どいつもこいつも、俺をバカにしやがって!
何がエメラルドだ、クソ女! 世界の使者、勇者のチンポ仲間が!
このチンポ穴! お前なんか、清楚なのは見せかけだけで、結局ただのチンポ穴じゃねえか!
爽やかメンと、よろしくやってるだけの肉の穴だろうが!
帰れよ! もう、お前なんか帰ってしまえ!
俺も、元の世界に返せ!!」
彼女はただ黙って、俺の憎しみの感情を受け止めていた。
そして、しばらく沈黙した後、『本当に、元の世界に帰りたいのですか』と尋ねてきた。
そこで、俺は我に返ったのである。
本当に、元の世界に帰りたいのだろうか。
今の生活と比べて、元の世界の生活のほうが良かったのだろうか。
長時間考えることもなく、どちらかと言えば、まだここでの生活のほうがマシだという結論になった。
そして、彼女に懇願していたのである。
「すいませんでした。どうか、ここの生活に戻らせてください」と。