1.この世界に嫌気が差したオッサンの俺は、世界が破滅する祈りを捧げていました
今日も、クソみたいな仕事が終わった。
クソみたいにつまらない仕事。
それなのに、神経だけはやたらとすり減らす、バカバカしい仕事。
身体も精神も疲れ果てている。
職場の同僚は、愛するパートナーや子供、自分の目標のために頑張っているようだが、俺にはそんなものは何も無い。
それなのに、生活していくためだけに、他の人達と同じように働かないと生きていけない。
もちろん、贅沢な生活を望まず、安上がりの娯楽だけで済ませるなら、現代社会では、福祉制度を利用すれば、働かずに生きることは可能なのだろう。
だが、俺はそれに気づくのが遅すぎた。
気づいた時には歳を取り、オッサンになってしまっていた。
今更、軌道修正をしたところで、10代や20代の若い頃には戻れないし、今の状態で仕事を辞めたところで、何かが変わるわけでもない。
そこで俺は、自宅のアパートに帰ると、いつものように「世界破滅の祈り」を捧げていた。
この世界が、破滅しますように。
この世界に生きる者たちが、不幸になりますように。
特に、いま幸せな者たちは、徹底的に不幸になりますように。
そんな祈りを、延々と捧げていたのである。
不幸な俺にとっての密かな「たのしみ」は、このような祈りを毎日捧げることくらいだったのである。