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ある平凡な主婦の告白

作者: 山野たぬき


 私はこの世に生まれてきて、まっすぐの道をまっすぐに歩んできた。平凡な学生生活、平凡な就職活動、平凡な結婚、平凡な子育てを見てみると、私の人生は人から見れば、何の面白みもない人生に見えることであろう。

今日私はこの平凡な人生を打ち破るべく、一大決心をし夫に告白をするつもりだ。


 私が生まれたのは43年前ある平凡な夫妻の2番目の子として生を受けた。

昔からどちらかと言うと引っ込み思案でおとなしい性格であった。

外で元気いっぱい活動するよりも家の中でのんびりと過ごすことの方が好きな子供で友人からは少し夢見がちだとかぼんやりしてるとは言われていた。

小学校の頃はなかなか自転車に乗ることができず、みんなが自転車の練習をして乗りこなせるようになっても、私はずっと乗れないままだった。

なので、友人から遊びに行くことを誘われても自転車に乗れない私は参加できずにいることも多かった。

だが、私はあまりそのことについて気にはしていなかった。なぜなら当時から本を読んだり、映画を見たり絵を描いたり、裁縫をしたり、工作をしたり、家で活動することの方が好きだったからだ。

人と協力して何か作り上げることよりも1人で何か黙々と作業する方が好きだった。

そんな私だったから、友人もあまり多くなく、もっぱら自分の趣味を楽しんでいた。

あと、ずっと男の子は苦手だった。

すぐにからかってくるし、変なあだ名をつけるから。

だからあまり男性とは縁がなかった。

長い学生生活はそんな感じで終始終わった。

 転機が訪れたのは18の頃バイト先で知り合った同い年の男の子で話もよく合う。優しい人。男性の友人ができたのは初めてのことだった。

他にもバイト先には、男性の友人もできたが、1番仲の良いのはこの男性だった。

2年ほど友人であったが、2人で遊びに行くことが増え、自然とお付き合いをするに至った。

お互いにはじめてのお付き合いでかってがわからず、喧嘩することもあったが、基本的に彼は優しい人だったから、仲直りはすすぐにして仲を深めていった。

友人関係の時から人と付き合うのは=結婚を前提と言う話をしていたため、5年ほど経って当たり前のように結婚した。お互いに燃えるような恋とかでは無いが穏やかで優しい慈しむような結婚であった。

彼といるととても安心できる。何が起こっても大丈夫だと一緒なら不安なことなどあったとしても大丈夫そんな風に思える人。

結婚してすぐに子供が生まれた。とても可愛い子で親類、家族全員が喜んだ。

夫は、産後の私の体調の悪さから子供は1人で良いと言った。

なので、私たち2人には子供は1人だけとなった。子供は元気にすくすくと育った。だんだんと手がかからなくなって、私には自分の時間が増えてきた。

そんな中自分の時間を趣味に使うようになってきた今までの私は、基本的に映画小説、漫画、アニメ、基本的に、そういったものがとても好きでよく鑑賞していた。ファンタジーやミステリー冒険物はよく目にしていたが、昔からなぜか恋愛ものは全く見ることがなかった。

自分とはあまり関係がないと思っていたかもかもしれない。だが、せっかくなのでいろんなジャンルをこの機に見てみることにした。

そしてホラー系犯罪系医療系、弁護士系、日常系まぁありとあらゆるものを鑑賞したが、私は見事恋愛系の特に純愛者のドラマや映画にはまった。

いい年をしたおばさんがこの手のものにはまっていると言うのは、非常に恥ずかしかった。子育てに関して、ママ友とは情報交換はよく行っていたがママ友とは夫の事や恋愛関係等の話はしなかった。

なぜなら、ママ友たちは口を揃えて夫の愚痴を言う人が多かったし、恋愛ドラマに関しては見るだけで気恥ずかしいと言っている人がほとんどだったからだ。私は夫にさほどの不満もなかったし今更、恋愛物にはまっているなんて誰にも言い出せなくなった。

 あと夫についてとても不安になることが多くなった。彼は私との結婚が友人で話も合い、居心地がいいからと言う理由で結婚したのではないかと思うことが増えてきた。以前はそのような事は考えもしなかったが、もし彼が本当に好きな人ができたらどうしようかと考えるようになってしまったのだ。映画やテレビで出てくる恋愛ものは純粋なものだけではなく、ドロドロ系と言うものも存在する。

これは三角関係や私怨、不倫、復讐ものなどなど非常に心臓に悪いものも存在する。

これを見ると、私は特に不安になってしまうようになった。彼はほんとに私でよかったのか、私たちは恋愛の痛みや大人の駆け引きそんなものを体験しなかった。

何よりあの恋愛もの特有のイチャイチャ私たちは体験していない…いいのか…これでいいのか…。


 私は恋がしてみたくなった。

だから、私は今夜彼に伝えるつもりだ。

「恋がしてみたい」と、そして若い人が体験するようなイチャイチャを私もしてみたいと

だから、



「あなたと恋がしたい」と告白するのだ。



恥ずかしいけどなかなか勇気も出ないけど思い切って伝える。

彼は優しい人だからきっと受け入れてくれると信じて…。


あぁ早く帰ってこないかなぁ。


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