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ショートショート4月~3回目

意気地無し

作者: たかさば
掲載日:2022/04/04

 ……最初に、あの子に、告白しようと思ったのは…いつの事だったかな。


 あの子の事が、好きだ。

 あの子の事が、好きでたまらない。


 あの子の事が好きだという気持ちを、伝えたい。


 明日こそは、告白しよう。

 明日こそ、告白するんだ。

 明日、告白する。


 告白したい、けれど、告白…できない。


 気持ちを伝えて、断られてしまったら。

 気持ちを伝えて、関係性が変わってしまったら。

 気持ちを伝えて、嫌われるような事があったら。


 自分に自信の持てない、僕。

 自分の気持ちを伝える勇気が出ない、僕。


 僕は、告白したい気持ちに、理由を付けて……抑え込んだ。


 告白するには、タイミングが悪い。

 告白するような、場所じゃない。

 告白するには、まだ早い。

 告白するような、関係ではない。


 僕は、告白したい気持ちに理由を付けて……口を閉ざした。


 でも、僕の心の中が、……騒ぎ出した。

 告白したい気持ちがちょっと待てと、しゃしゃり出てきた。


 頭の中に、おかしな決意が……生まれるようになった。


 明日、雪がやんだら…あの子に告白しに行こう。

 明日、桜祭りの会場で…あの子に告白しよう。

 明日、雨が降らなかったら…あの子に告白しに行こう。

 明日、雷が鳴ったら…あの子に告白しに行こう。

 明日、何もなかったら…あの子に告白しに行こう。

 明日、無事に過ごせたら…あの子に告白しに行こう。


 告白したい気持ちは、懸命に……僕を動かそうと、試みたのだ。

 自然現象に託けて、告白するための勢いを…得ようと足掻いたに、違いない。

 しかし、願いもむなしく……僕はあの子に告白できないまま、時間だけが過ぎていった。


 告白したいと思う気持ちを、何かにかこつけて有耶無耶にしていたから……罰が当たったのかも、知れない。


 明日、雪がやんだら…あの子に告白しに行こう。

 ……そう決めた日に、大雪警報が出た。


 明日、桜祭りの会場で会ったら…あの子に告白しよう。

 ……そう決めた日に限って、緊急の仕事が入って祭りに行けなかった。


 明日、雨が降らなかったら…あの子に告白しに行こう。

 ……そう決めた途端に、ゲリラ豪雨がやってきて川が決壊した。


 明日、雷が鳴らなかったら…あの子に告白しに行こう。

 …そう決めた日の夕方、台風は急カーブを描いて舞い戻ってきた。


 明日、何もなかったら…あの子に告白しに行こう。

 そう決めた日の夜に、二軒隣の家で大事件が起きててんやわんやになった。


 ……もう、何があっても、告白できる気がしない。


 でも、どうしても……諦めきれない。

 どうにかして……この思いを伝えたい。


 そこで、僕は……考えた。


 絶対に、告白することができるような、ありえないことを引き合いに出そう。

 絶対に、告白することができるように、なんてことない日常に勢いをもらおう。


 明日、世界が滅亡しなかったら、あの子に告白しに行こう。


 ……世界は、滅亡しなかったけれども。


 宇宙人が、襲来してきた。


 捕獲されて、まな板の上にのせられた時、あの子が横に、並んだ。


「好きです、付き合ってください!」

「私もあなたが好き!ずっと告白されるのを待ってたの!」


 ……ああ、なんでもっと早く告白しておかなかったんだろうなあ。


 僕は彼女と一緒に。


 空の彼方から、切り刻まれた肉片を、見下ろした。


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― 新着の感想 ―
[一言] 世界滅亡を引き合いに出すから、こうなるんや……。 宝くじが外れたら告白しよう、とかにしておけば……って。あ、でも。うん。告白したいんですもんね、宝くじとかどうでもいいですもんね。うん。
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