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iドール  作者: OPQ
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プロローグ

 箱の中から出てきたのは、夢にまで見た俺のiドールだった。全長十五センチの人形が、気をつけの姿勢で白い円形の台座に足を接着している。これから早速初期設定を行う。まずはえっと……所有者登録か。「増田林太郎」っと。顔と指紋と声紋も登録すんのか。面倒くさいな結構。

 後頭部の登録に手間取ったが無事クリア。次はドールの名前か。もう決めてあるんだよな。好きなヒロインの名前を組み合わせて「花咲くるみ」……アイドルネームは「クルミ」。これでよし。外見設定。これが噂以上にすごかった。年齢から体型、髪の色、きめ細やかな顔の作り、果ては黒子の位置と数まで、何でも自由にセッティングできた。ここで一週間潰したって人が続出するのもわかる。けど俺は早く動かしてみたいから、サンプルを軸にちょっといじる感じで済ませる。後からでも変えられるしな。

 設定年齢十六歳、身長一六八センチ(現実には約十七センチになる)、そこそこ良いスタイル。黒子や染みはなし。顔はサンプルからあまり弄れなかったが、全体的に優しい感じに。ややお姉さんぽく。でも幼さも残った。良い感じ。

 性格は……「素直」「優しい」「快活」でよしと。声はサンプルボイス三番。話し方の細かい設定欄もあったが、それはデフォルトで放置した。俺が目指しているのはアニメや漫画のメインヒロイン的なやつだが、果たして成功か。タブレットから目を離すと、床に置いてある現実の人形の方も、画面に映るモデルとそっくり同じに変化していた。よしよし、いいぞ。起動!

 十七センチのピンク髪の人形に命が宿った。ゆっくりと動き出し、首を傾けた。周囲を観察した後、俺を見上げて言った。

「初めまして、マスター。私は花咲くるみです。よろしくお願いしますねっ」

 その笑顔は可憐で清らかで、動きはやや幼さを感じさせるが活発、声は透き通っているが確かな芯を感じさせる。俺は拳を握りしめ、天に向かって突きだした。成功だ。

「よっ……しゃー!」

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