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だるっぱの呟き  作者: だるっぱ
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グッジョブ!

 三泊予定の小豆島旅行でしたが。シンゴは一泊で帰ってきました。今回は、そんなシンゴの珍道中を報告したいと思います。


 お寺の境内での野宿は、怖さで安眠が出来なかったそうです。前回の琵琶湖旅行では、疲れすぎて寝落ちしたシンゴでした。しかし、今回はフェリーに乗船したくらいの疲れしかありません。なかなか眠れませんでした。僕が睡眠している間、眠ることが出来ないので家族たちとテレビ電話で怖さを紛らわしていたそうです。


 朝の5時ごろに起床したシンゴは、朝食を作ることなく出発しました。でもお腹は空きます。朝方、仕事をしている僕との電話のやり取りでは、コンビニを見つけておにぎりでも食べると言っていました。ところが、シンゴからLINEが届きます。ブラインドを落としているセブンイレブンの写真でした。


「7あいてない」


 なるほど、大阪とは違います。それは仕方がない。僕も仕事で忙しいので放置をしていると、また写真が届きました。エンジェルロードの写真です。


 ――えっ!


 なぜ僕が驚いたかというと、エンジェルロードはその日の目的地だったからです。夕方に到着する予定が、朝の7時半に到着してしまいました。これは計算違いです。前倒しで計画が進み過ぎです。「からかい上手の高木さん」の聖地巡礼も早い段階で、終わらせてしまいました。


 三泊目の予定は吉田海岸です。一日前倒しで向かえば良いのですが、明日の天気予報は雨でした。僕は、シンゴに雨に対する心構えを語ります。ところが、シンゴの返答は、僕にとって意外なものでした。



「今日、帰ろうかな」


「……」


 返事に困りました。僕の気持ちとしては、更に一泊して欲しい。きっと良い経験になると考えるからです。しかし、シンゴの気持ちも分からなくはない。


「良いと思うよ」


 シンゴは、素直に帰ってきました。迎えに行った車中では、自転車旅行がいかに疲れたかを語ります。今度は、バイクが良いと言う始末。


 ――えっ!


 シンゴは自転車が好きだと思っていました。しかし、シンゴにとっては自転車は手段であり、楽であればバイクでも良いということです。ちょっと寂しかった。シンゴの為に、自転車を調達して、改造した日々が思い出されます。ただ、そんな様子は見せません。「大人になったらな」と濁しておきました。


 親が子供に出来ることって、環境の提供しかないと考えています。子供の色を親が決めてはいけません。様々な経験をした中で、何を選ぶかの決定権は子供に託すべきだと考えています。その決定が、親である僕の意見と食い違っていたとしても、見守るしかありません。それで、良いですよね?


 シンゴは、親の為にお土産を買ってくれました。オリーブ油です。でも、ただのオリーブ油ではありません。小豆島産の手済みオリーブオイル。しかも、プレミアム。182gの小瓶の価格でビジネスホテルに宿泊できます。めちゃ高い。


 本日、そのオリーブ油と国産ニンニクで、長男のダイチにペペロンチーノを調理してもらいました。長男が調理するパスタは、お金を取れるレベルです。パスタについて、かなりのこだわりがあります。


 ところが、次男のシンゴと三男のレントは、このパスタは匂いが強すぎて食べれませんでした。子供っていうのは、そんなものです。ところが、僕は違いました。こんなにも香りが豊かなペペロンチーノは初めての体験です。


 ――美味い!


 これまでのエキストラバージンオイルは、何だったんだろうと疑念を抱くレベルです。こんなにも高価なオリーブオイルは、今後、口にする機会はないでしょう。とても勉強になりました。ただ、価値の分からないシンゴに、一つお願いをしました。


「ママには、このオリーブ油の値段は言ったらダメやで」


 言ったら、きっと嫁さんは吃驚します。もしかすると、シンゴに小言を言うかもしれません。嫁さんは、この真実を知らない方が良いと思いました。

 それにしても、シンゴの最後の仕事は、僕にとって素晴らしいものです。

 グッジョブ!

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