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だるっぱの呟き  作者: だるっぱ
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歴史学者と小説家

 古代史を自分なりに咀嚼して「古代史自説」という、縄文時代から飛鳥時代までの通史を書いています。


 ――学者でもないのに、なんで?


 そんな声が聞こえてきそうです。目的は、未来に書くであろう聖徳太子の物語の為でして、当時の世界観を僕なりに理解する必要がありました。この理解する作業として通史を書いています。現在、蘇我氏について前半まで書き上げました。そうした作業から感じたことを、つらつらと吐露してみたい。


 日本の古代史を勉強する場合、古事記と日本書紀が基本になります。歴史に弱かった僕が勉強を始めた頃は、記紀には正確な歴史が記されていると思っていました。ところが、勉強する中で史料批判という言葉に出会います。歴史書というのは、時の権力者が、自身の正当性を世に知らしめるのが目的なので、事実が曲げられている場合があるのです。その差分を理解しつつ読み込まないと、真実にはたどり着けない……。


 様々な書籍を読み込んでいくと、学者による見解が様々にありました。また、インターネットの個人ブログやYouTubeにも在野の研究家の考察が色々に述べられています。それらの見解の大部分は基本的に記紀をよりどころにしていました。多少のブレはあっても、理解できる範囲になります。


 ただ、最近読み始めた斎木雲州著作「出雲と蘇我王国」は、全く違いました。向家による出雲口伝をベースにした日本史なのですが、インドのドラビダ族が出雲を建国したり、徐福が素戔嗚だったり、蘇我王国のなかから継体天皇が登場したりします。これまで勉強してきた知識が頭の中で全て引っ繰り返ってしまい、読んでいて何だか気持ちが悪い。なんだか胸の中もザワザワしてきます。


 記紀にしろ出雲口伝にしろ、どちらが正しいのかということは、正確には検証が出来ません。現代の僕たちは、「~かもしれない」と考察することしかできないのです。例えば、王朝交代説であれば、古代には崇神王朝、応神王朝、継体新王朝が存在していて、万世一系ではなかったと考えます。でも、これは「説」であって、一つの見解に過ぎない。ただ、考察のよりどころは記紀をベースにしているので、「そうかもしれない」と何となくは理解が出来ます。


 ところが出雲口伝になると、記紀の情報から大きく逸脱していて、異世界に転生されたようなSF感があります。ひょっとすると、これが真実かもしれないという可能性もありますが、根拠が口伝なので誰も立証が出来ません。信じるか信じないかという二者択一なのです。僕としては、そのように述べるのなら何かしらの根拠を示してほしい。


 例えば、出雲口伝では出雲の源流はドラビダ族としていますが、僕は河北省の人々が弥生文化をもたらしたと考えています。その根拠は、DNAの研究結果に寄っていました。天孫族のルーツは雲南省かもしれないという仮説も、DNAの研究結果と合わせて水田稲作文化や麹文化の変遷を俯瞰してのことです。ただ、そうは言っても、僕の自説も完全に正しいわけではありません。「~かもしれない」という考察の域は出ないのです。


 歴史学者と歴史小説家を比較した場合、この考察の部分が大きな分かれ目になると思います。歴史学者は考察止まりで良いけれど、歴史小説家はその考察を事実として読者に信じ込ませ、物語を展開する必要がありました。ある意味、歴史小説家にとってその題材を使うことで物語が面白くなるかどうかが大切で、真実かどうかはあまり問題でなかったりします。そうした意味では、出雲口伝もSFとして読めばよいのかもしれません。


 ただそうは言っても、僕としては歴史の真実に迫りたいし、その上で物語を紡ぎたい。歴史の探索はミステリーのような面白さがあります。歴史の何故? に対して、僕なりの考察をこれからもご紹介していきますが、とうとう飛鳥時代に突入しました。まだまだ勉強が足りていません。更新頻度は少なくなると思います。もし楽しみにしている方がいましたら、ゴメンナサイ。

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