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だるっぱの呟き  作者: だるっぱ
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2025年参議院選挙雑感

 与党が過半数を割るという結果で、参議院選挙が終わりました。話題の中心は参政党で、台風の目のような存在だったように思います。参政党に関しては海外のメディアも関心を示しており、極右政党として紹介されていました。日本の政治の歴史において極右と言えば右翼のイメージがありますが、参政党は候補者も支持者も年齢層が若いことが特徴で、従来の右翼的なイメージが感じられません。どこかライトでポップ。そんな参政党の主張を交えながら、全体的な総括をしてみたい。これから述べる内容はあくまでも僕個人の意見になります。


 今回の参議院選挙の焦点は消費税だったように思います。消費税をゼロにする、もしくは食品等を5%に減税といった主張が多かった。減税の理由として、過去に消費税の導入によってデフレを悪化させたから、また物価高対策として消費税を下げるといった意見がありました。これら二つの意見に対して僕なりの考えを述べてみたい。


 バブルの崩壊によって日本の経済は停滞しました。追い打ちをかけるようにして、1997年に消費税が導入されます。この消費税が景気低迷に影響したのは間違いない。ただ、消費税が導入されて28年の月日が経過しました。現代に至っては、消費税の存在は国民に受け入れられているのではないでしょうか。消費税は日本の税収の三分の一を占めており、その存在は大きい。また、その用途として、年金、介護、医療、子ども・子育て支援に充てられています。もし消費税をゼロにするのなら、社会福祉を放棄するか、財源をどこかから見つけてこないといけません。社会福祉は放棄できないので財源を見つけるしかないのですが、そうした議論は見られなかったと思います。


 また、物価高対策として消費税をゼロにするという意見もありましたが、これは焼け石に水だと考えます。何故なら、消費税は物価高の原因ではないから。商品の価格は、需要と供給のバランスによって決まります。現在の物価高は、供給量が少ないことによって引き起こされていました。仮に消費税を無くしたとしても、物価高は止まらない。というか世界との比較で考えると、現在の物価高はまだ正常の範囲内だと考えます。デフレで苦しんだ日本経済にとって、この物価高は求められていた変化なのです。ただ、その過渡期においては痛みを伴うので、早急に手取りアップが望まれます。つまり、いま直ぐにでも現金が欲しい。現金給付は、妥当な策なのではないでしょうか。


 ただ、個別案件に関する減税は必要です。秋の国会ではガソリン減税が議論されるでしょうし、若者の未来を護る奨学金減税といった政策は採用されるべきです。同じ減税でも目的と方法をセットで考えることが重要で、食品に関する減税なら目的が明確ですが、消費税ゼロはあまりにも漠然としすぎではないでしょうか。日本において消費税は必要な財源だと、僕は考えています。 


 参議院選挙を終えて、議員数が確定しました。新たな勢力分布は、自民101 公明21、民主38、国民22、維新19、参政15、共産7,れいわ6、保守2、社民2、N党1、みらい1、無所属13、の合計248議席になりました。ポイントは、自民・公明で122議席。つまり、過半数に3議席足りない。法案を通すためには、与党はどこかと手を組む必要があるのです。


 高度成長期の日本は、自民党と社会党の55年体制でけん引してきたのですが、バブルの崩壊を機に多党化します。その後、合流と解体を繰り返して現在に至ったわけですが、これからの未来はこの多党化が日本の政界のスタンダードになるのではないでしょうか。多様化した世相を、一部の政党で包括するのは難しい。様々な主張の代弁者として、それぞれに政党が乱立していくのは自然な流れに感じます。このような時代における政党の要件を考えてみたい。


 まず第一に、政党のキャラ立ちが重要だと考えます。キャラ立ちとは政党の個性のことで、今回の選挙でこのキャラ立ちに成功したのは参政党になります。個人的には彼らの主張は精鋭化しすぎで怖いのですが、ここでは問いません。大事なのは、何を成したいのかを明確に訴えることが重要でしょう。SNSが一般化した選挙戦では、分かりやすいキャラの方が民衆に浸透しやすい。「日本人ファースト」はその最たる例で、小泉のお父さんの「自民党をぶっ壊す」を思い出します。


 次に、他党と連携出来る力が重要だと考えます。昔、小沢は「オリーブの木」構想を提唱して、野党間の連帯を訴えました。今回衆参両院で与党は過半数割れを起こしたので、もし全ての野党が連携したら数の上では過半数を取ることが出来ます。しかし、これは現実的ではない。なぜなら、極左の共産党と極右の参政党が手を組むことは考えられないからです。このような関係性において、キャスチングボードがとても重要になります。つまり、与党と組む第三の勢力は法案を通す決定権を持つことが出来るのです。


 選挙戦は耳障りの良い政策を訴えることが出来ますが、言うだけ番長は信用されません。具体的にマニフェストを実現し実績を積み上げていく必要があります。野党であっても是々非々で与党と連携することで、政策を実現することが出来るのです。裏金問題の噴出から自民党は惨敗しましたが、それでも腐っても鯛。今なお最大勢力の自民党を上手く転がすくらいの野党が現れてもおかしくはない。いや、転がしてほしい。ある意味、政界の多党化は政策論争が出来る土壌がやっと整った……と考えても良いかもしれない。何はともあれ、与党の過半数割れは、今後のスタンダードになっていくと考えます。

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