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だるっぱの呟き  作者: だるっぱ
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現実逃避

 昨日の投稿で「現実逃避」という言葉を使ってから、妙に心に引っ掛かっています。


 ――現実って何だろう?


 「現実」という概念に対比されるのが「理想」になります。それぞれの意味について、ネットで調べてみました。


 現実――いま目の前に事実として現れているもののこと。

 理想――考えうる最も完全なもの。


 これらの意味の関係性から考えると、現実は不完全なもので、理想は完全なものと言えそうです。社会を見渡すと、不条理な事柄で満ちています。最近の事象を例に挙げれば、お米の問題は最たるものでした。一年前であれば、末端で10kg4000円くらいで販売されていた精米が倍以上の価格になり、更には店頭から消えました。


 ――米が無くなったの!?


 店頭には海外のお米が店頭に並ぶようになり深刻さが増したころ、前農林水産大臣の失言から小泉進次郎が次の大臣に指名されました。5月の末に次のような政策を打ち出します。


「古古古米を、5kg2000円で販売します」


 その一言で、備蓄米が安く販売され始めたわけですが、同時にそれまで店頭から消えていた24年度産のブランド米も店頭に並びます。門真にあるココストアでは、ブランド米がパレットで6枚ほど並びました。


 ――なんじゃそりゃっ!!


 馬鹿らしくて開いた口が塞がりません。価値が下がる前に販売しようと考えたのでしょう。お米はあったわけです。


 ただ、その構図は理解できます。商品が減少することによる価格の高騰は自然な経済の動きで、また時間の経過によって更なる価値の高騰も期待できます。備蓄できるお米は、投機の対象として最適でした。ただ、一部の人だけが利益を享受しているという構図は、社会から共感を得られない。そうした不均衡のことを、僕たちは「現実」と表現します。


 僕たちの行動の源泉は、「欲求」になります。欲求には段階的な階層があり、食欲、睡眠欲、排泄欲、睡眠欲、性欲といった生理的本能的な欲求から、優越感、財産獲得、顕示欲、支配欲、承認欲求など社会的な関係性の中で生まれる欲求や、更には自身の成長を求める自己実現欲求などに分類することが出来ます。


 欲求そのものは、自然な発露であり悪いことではありません。ただ、社会というのは価値観が異なる人々で構成されているので、それぞれがそれぞれの欲求を叫び始めると収取が付きません。一つのパイを、皆で寄ってたかって奪い合っているようなものです。戦争は最たるもので、暴力でもって自国の欲求を通そうとします。


 そうした現実に対して解決を試みようとした概念が「理想」と考えられます。この「理想」と「現実」の折り合い方について、二つの方法があると考えます。先ほどのパイを例に挙げると、一つ目の方法は「パイ倍増化計画」です。


 18世紀の産業革命以前の世界人口は10億人が限界でした。どんなに頑張っても、食料が全然足りません。現代では容認されませんが、戦争による略奪行為は昔は国家的な戦略として当たり前に選択されていました。ところが、18世紀以降から人口は爆発的に増大します。現代では80億人を突破しました。その要因は、産業革命以降の科学技術の発展になります。食料をはじめとして様々な製品の大量生産が可能になりました。パイが無ければパイを作るのです。


 現代社会は、80億人の人間が生きる為に、無尽蔵に食料を生産することが科学的に可能になりました。農業は連作をすると畑が痩せるのですが、化学肥料がその問題を解決します。畜産に関しても、80億人の人間を養うために世界中で、牛15億頭、羊12億頭、豚8億頭、鶏230億羽が飼育されているそうです。そのことによる環境問題という弊害があるにせよ、これは理想と現実に折り合いをつける一つの方法になります。


 二つ目の方法は、「一つのパイで納得し合う」になります。分け合う人々に「少ないけどゴメンね」と理解を促します。この理解とは心の問題のことで、それを体系化したのが僕は仏教――かなり極論ですが――だと考えます。その真理は「諸行無常」であらわされ、パイを分け合うという物理的問題を、関係する人々の精神的な成長で解決しようとしました。一見すると問題のすり替えにも感じる荒業ですが、ここには「幸せとは何か?」という命題が含まれています。ただ、説明は省きます。


 ただね、そうはいっても「理想」というのは、なかなか手が届かないから「理想」と言います。努力だけでは如何ともしがたい。段々と精神的に窮屈になっていきます。そうしたフラストレーションが溜まりに溜まると、僕は現実逃避をしたくなる。考えてみれば、僕の人生はその繰り返しだったような気がします。

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