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だるっぱの呟き  作者: だるっぱ
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聖徳太子の世界の人々

 昨年の「光る君へ」に続き、今年のNHKの大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」を毎週楽しく観ています。感心するのは、一回に45分という決められた時間枠の中で、丁寧にドラマを構成していることでした。毎回のタイトルもテーマに沿ったものを暗示していて、とても分かりやすい。さすがプロの技だと感心しています。ただ、一つ難があるとすれば、登場人物が多すぎて名前が覚えきれない問題がありました。


 まー、しかしこれは「歴史物あるある」なので、「べらぼう」の構成作家が悪いわけじゃありません。ただそれでも、次々と登場人物が入れ替わっていくと記憶が追い付かなくなります。「この人、誰だっけ?

」みたいなことが頻繁に起こりました。しかし、NHKは抜かりがありません。ネット上に「キャスト人物相関図」を用意していました。僕はパソコンで「べらぼう」を観ているのですが、画面が二つあります。一つは「べらぼう」を開き、もう一つは「キャスト人物相関図」を開くことで、この問題を解決していました。


 ところで、将来的に聖徳太子の物語を描くために、僕はインプットしてきた情報を次々とアウトプットしてきました。その内容を「歴史転換ヤマト」と題してまとめているのですが、現在まででそのエピソード数が116話、文字数は33万字になりました。ただ、その内容を俯瞰してみると、聖徳太子に直接関係するエピソードは三分の一くらいでしょうか。それ以外の内容は、思想的なことだったり、僕の遺跡巡りの体験談になっています。僕の中では、聖徳太子の物語を描くために必要なことではあるのですが、回り道をしているな……とも思ったり。そこで、今回は僕なりに登場人物を紹介してみます。そうすることで、僕の頭の中も整理できそうなので。


「厩戸皇子」

 物語の主人公。後世には聖徳太子と呼ばれるようになりますが、これは尊称で本名ではありません。また記紀には複数の名前で紹介されており、「上宮之厩戸豊聡耳命かみつみやのうまやとのとよとみみのみこと」や「厩戸豊聡耳皇子命うまやとのとよとみみのみこのみこと」が代表的な表記になります。豊聡耳という漢字が使われていることから、「一度に10人の人の話を聞くことが出来た」みたいなエピソードが生まれましたが僕は信じていません。単純に人々の声に耳を傾けた人物であった、と解釈しています。また、厩戸という表記から、イエス・キリストの誕生に重ねる論説もありますが、それは無茶が過ぎます。僕なりには、叔父の蘇我馬子にも「馬」が使われていることから、馬の飼育に関係したと考えています。当時の馬は、現代でいうところのスーパーカー。皇子は颯爽と馬に乗っていたと思います。


「蘇我馬子」

 厩戸皇子の叔父さんであり、皇子の妃である刀自古郎女とじこのいらつめのお父さん。この人物の描き方で、物語の面白さのほとんどが決まると思います。超重要人物でありながら、まだイメージが出来ていません。厩戸皇子は西暦622年に49歳で逝去されるのですが、馬子はその4年後に76歳で亡くなります。つまり、厩戸皇子は生きている間、馬子の呪縛からは逃れることは出来なかった。二人の間の緊張感をドラマチックに描きたい。


「物部守屋」

 蘇我馬子と丁未の乱で争った、最強豪族の首長。物部は「もののふ」という言葉の語源でもあり、武人の鏡の様な存在。実は、守屋の妹は馬子の妻になる。飛鳥時代の覇権を二分した二人であるが、関係性は深い。元々は、二人は仲が良かったという設定にしたい。やむにやまれず丁未の乱に至るが、そこにはドラマがあった。


捕鳥部万ととりべのよろず

 物部守屋の部下。弓の達人。僕が考える物語のオープニングを飾る主人公。大和王権は豪族が集まる連合政権で、地域の支配はそれぞれの豪族が担っていた。当時は、そうした豪族の支配から逃れた山の民が各地に存在している。縄文時代から続く狩猟採取民で、豪族の支配に組しないことから「まつろわぬ人々」と呼ばれていた。万は、そうしたまつろわぬ人であったが守屋の元に下る。義理堅い人物で、剛腕。丁未の乱において、蘇我馬子の軍勢に追い詰められて自害する。


「推古天皇」

 和風諡号は豊御食炊屋姫尊とよみけかしきやひめのみこと。言わずと知れた日本で最初の女性天皇であり、ピンチヒッターで天皇になったのに35年も在位した。厩戸皇子が摂政として政治に携わったが、そこには蘇我馬子ー厩戸皇子ー推古天皇のトライアングルな駆け引きがあったと推察される。因みに、当時の政治は宴会政治で、神饌を中心とした神人共食によって王族と豪族との信頼関係深められていた。名前から推察するに、推古天皇はこの場において、元々は巫女としての立場だったと考えている。


穴穂部間人皇女あなほべのはしひとのひめみこ

 厩戸皇子の母親。欽明天皇の娘で、推古天皇は腹違いの姉妹。共に蘇我の血を引く間柄ではあるが、対立関係にある。丁未の乱においては丹後半島に逃げており、そのエピソードをドラマチックに仕立てたいと考えている。美しいと言われた推古天皇であるが、その推古天皇が嫉妬するほどに美しい。その美しさが、彼女人生を狂わせる。夫である用明天皇が薨去された後、義理の息子と結婚して娘が生まれ、その娘が厩戸皇子の息子と結婚している。非常に複雑な家族関係を作ってしまった元凶。息子である厩戸皇子が手を焼く母親であったが、皇子はそんな母親のことを深く愛していた。


秦河勝はたのかわかつ

 厩戸皇子を強くバックアップする豪族の首長。山背とよばれた現在の京都盆地を治めていただけでなく、全国にネットワークを持つ豪商の側面も併せ持つ資産家。その祖先を辿ると、秦の始皇帝やユダヤに関係したりと、西アジアの血を強く受け継ぐ渡来系の人物。厩戸皇子から譲り受けた「弥勒菩薩半跏思惟像」は、現在も京都の広隆寺に安置されており、日本で最初の国宝に指定された。


善信尼ぜんしんに

 本名は嶋。父親は渡来人の多須奈。祖父は司馬達等。仏師の鞍作止利とは姉弟になる。厩戸皇子とは幼馴染。蘇我馬子の庇護のもと、11歳で尼僧になる。日本で初めての出家者。ところが物部守屋の仏教弾圧から拘束された善信尼は、海石榴市つばいちの真ん中で大衆が見つめる中、裸にされ鞭打ちの刑に処された。このことが後の丁未の乱の遠因ともなる。丁未の乱が始まる直前に、疎開させられるようにして百済に留学させられた。


菟道貝蛸皇女うじのかいたこのひめみこ

 推古天皇の娘で、厩戸皇子とは従姉の関係。5歳年上のお姉さん。10歳で伊勢神宮の斎宮に任じられるが、宮内で犯され解任される。彼女の心の傷を癒したのが年下の厩戸皇子で二人は結ばれた。厩戸皇子の最初の后になる。しかし、丁未の乱の最中で自害した。


刀自古郎女とじこのいらつめ

 蘇我馬子の娘。厩戸皇子の第2婦人。二人の間に山背大兄王やましろのおおえのおうが誕生するが、二人の関係はずっと険悪なまま。亡くなった菟道貝蛸皇女や第4夫人である膳部菩岐々美郎女かしわでほききみのいらつめに対して強い嫉妬の炎を燃やし、その都度、厩戸皇子を困らせる。


鞍作止利くらつくりのとり

 後の天才仏師。厩戸皇子の5歳年下。日本で最初の仏像である飛鳥大仏を手掛けた後も、精力的に仏像の制作にあたった。現代でいうところのモデラ―でありオタク。ちょっと話が通じないところがある。幼いころからその才能は開花していて、厩戸皇子が嫉妬する一面も。止利と一緒に、厩戸皇子も仏像を彫ることを趣味にしていた。


「小野妹子」

 妹子と表記するが、女の子ではない。教科書にも載っている遣隋使として海を渡った人。走り出したら止まらない猪突猛進タイプで、涙もろい。融通が利かない不器用なところがあるが、真面目一徹。嘘が付けない。好きな食べ物は、牛乳から作る「蘇」。当時としてはとても珍しい食べ物で、宮中の高官でなければ口にできない。厩戸皇子からは、この「蘇」でよく釣られる。


「膳部菩岐々美郎女かしわでのほききみのいらつめ

 豪族の首長である膳臣傾子かしわでのおみかたぶこの娘。厩戸皇子の第4婦人。晩年、厩戸皇子が最も愛した妃になる。厩戸皇子が薨去した時、母親である穴穂部間人皇女と膳部菩岐々美郎女は、ほぼ時を同じくして亡くなった。原因は分からない。大阪府太子町の叡福寺境内にある磯長墓しながのはかに、三人が合葬される。


 他にも様々な登場人物がいますが、主要な方だけピックアップしてみました。しかし、ドラマはまだ描けていません。まだまだ勉強が必要になります。

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