スーパーカブとか、和食展とか、和チーズとか
GWに大阪から長野県の白馬まで往復した顛末は以前にご紹介しました。全走行距離920kmという長旅だったのですが、この一回のツーリングでチェーンが外れてしまうくらいに伸びてしまいまいました。今は後輪の位置を調整したので外れることはありませんが、チェーンは交換しなければなりません。そうした走行距離が8万キロを超えた僕の相棒ですが、長旅以降、エンジンの調子がすこぶる良い。とても良く回るのです。
僕のスーパーカブは、キャブレターを搭載した最後のモデルになります。コンピューター制御のインジェクションと違って、キャブ車はアナログで燃料をエンジンに噴出します。多分その所為だとは思うのですが、時々、調子が良いとき悪いときを繰り返しました。その気分屋な様子がどこか人間臭い。なんか、こー、愛着が湧きます。先ずは相棒の為にチェーンを交換するのですが、どうせならもう少し可愛がってみたい。
8万キロも走ってもなお、まだまだ現役の僕のスーパーカブですが、外見のヤレ感は隠せません。直接走ることには影響しませんが、綺麗にしてあげたい。カスタム化は興味ありませんが、禿げた――僕の頭?――塗装くらいは塗りなおして細部の黒い汚れも除去して、新品とは言わないまでもそれなりの美しさを復活させようかなと考えています。
この間、嫁さんと京都に遊びに行きました。大阪万博と合わせるようにして周辺の博物館では国宝が大集合しています。京都では、京都国立博物館で特別展「日本、美のるつぼ」が開催されていますが、そちらではありません。京都文化博物館で開催されている特別展「和食〜日本の自然、人々の知恵〜」を観覧してきました。多分、国立博物館は超満員だと思いますが、文化博物館はそれほど見学者は多くなかったです。
この和食展は、一年半前に東京の国立科学博物館で開催されたもので、日本中を巡回展示していました。僕は開催当時から、京都にやってくるのをずっと楽しみに待っていたのです。なぜなら、日本の食の歴史も関心があったから。
僕がこれまでに表現してきた小説は、どれも当時の時代背景を大切にしてきました。初期の「 本読みクラブー怪人二十面相が好きだった僕らの時代ー 」「逃げるしかないだろう」「その男、木崎隆――逃げるしかないだろう外伝――」「貴女を守りたい!――少年探偵団の事件簿――」は、僕が生きてきた昭和が舞台になっています。これらの小説を描くために、昭和という時代を掘り返して参考にしてきました。全くの無から作品を生み出したわけではありません。
これから書くであろう聖徳太子の物語も、当時の時代背景を丁寧に表現したい。その為に、色々と当時の様子について勉強しているわけですが、これが沼でした。古事記や日本書紀といった文献を参考にするのはもちろんですが、素人の僕では理解不可能。先人の研究者の足跡を追いかける必要がありました。また、歴史的事実だけでなく、僕は飛鳥時代を五感で感じたい。政治経済といった社会システムや、農業や狩猟採取といった食に関する取り組み。また収穫された食量をどのように調理して、どのように神饌として御供をしたのかを知りたいし、当時のファッションや竪穴式住居での生活なども関心があります。また、文献には残されていないけれども、貴族社会の思想、渡来人の考え方、まつろわぬ人々の目線など、様々なポジションから飛鳥時代を見てみたい。そうした勉強の一環として、和食展を見学してきました。
NHKでは、蔦屋重三郎を主人公にした大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」が毎週配信されています。ネットのニュースでは、視聴率が悪いとネガティブな意見が散見されます。でも、作品の完成度はかなり高い。脚本が良く出来ていて、かなり面白い。当時の時代背景を丁寧に描いていて、「さすがNHK」と思います。ネガティブな意見は、視聴率ばかりを注目していますが、作品の良し悪しや人気度を視聴率で計るのはもう古いんじゃないかな……。僕は前作の「光る君へ」から、NHKプラスで大河ドラマを鑑賞しています。時代は、テレビのチャンネルからネット配信に移行しているのに、いまだに「視聴率が~」って……どうなんだろう。
和食展は、僕にとって情報的な目新しさはありませんでした。関心があったのでこれまでに色々と勉強してきたからなのですが、ビジュアル的な表現はとても良かったです。イメージがし易かった。写真撮影がオッケーだったので、パチパチと撮ってきました。これまでにも様々な写真を撮ってきましたが、全て今後の資料と考えています。
和食展を後にした僕と嫁さんは、長男おすすめのお店に行きました。京阪電車に乗って三条駅から伏見桃山駅に移動します。駅を降りた後、商店街を西に移動していくと、「伏水酒蔵小路」という屋台村がありました。ここには伏見の日本酒が全て集められています。9種類の日本酒と、9種類のアテが楽しめるセットコースがあったので僕と嫁さんでそれぞれ頼みました。
――面白い!
利き酒という飲み方を遊びに昇華したこのセット、まるでテーマパークのようでした。個性あるそれぞれの日本酒に合わせて、アテがチョイスされています。日本酒の美味しさもさることながら、アテの多様性がとても勉強になりました。
最初のアテは、「和チーズ」になります。チーズの味噌漬けなのですが、これがマジで美味い。日本酒のアテにピッタシ。こんな取り合わせがあったなんて全く知りませんでした。早速、自分でも漬けてみようと思いました。他にも、「酒粕バター」「小鮎の山椒煮」「スモークサーモンといぶりがっこタルタル」「万願寺とうがらし味噌」等、小粋なアテが続きます。日本酒と珍味はとても相性が良い。調子に乗って、ホタルイカの沖漬けとか烏賊の塩辛も頼みました。どれも美味い。日本酒を更に追加したのは言うまでもありません。
ただ、少しだけ不満がありました。それは京都という立地になります。普段は晩酌ばかりなので、飲んだらすぐに寝たい。でも、大阪まで帰らないと寝ることが出来ない。電車に揺られながら、うつらうつらしました。嫁さんと協力して、寝過ごしてしまわないように眠い目を擦りました。まー、でも、久々の嫁さんとのデートだったので、とても良かったです。これまでも一緒に歩んできましたが、二人とも平均寿命まで生きたなら、それ以上の時間を一緒に過ごすことになります。色々あるとは思いますが、「大切にしないとな」と思いました。




