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だるっぱの呟き  作者: だるっぱ
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憧れる

 物事を成すときの動機として「憧れる」という想いは、最上のものではないでしょうか。雨の中ではありましたが奈良県までスーパーカブを走らせて、奈良国立博物館に行ってきました。目的は「超国宝ー祈りのかがやき展」になります。長蛇の列ではありましたが、思いの外、スムーズに入館できました。


 入館後、最初に出迎えるのが通称は百済観音、正式名称は「観音菩薩立像」になります。聖徳太子が建てた法隆寺所蔵の観音像でした。両脇には日本最古の四天王像になる広目天と多聞天が脇に控えています。飛鳥時代の仕事になります。鞍作止利くらつくりのとりの制作かどうかは分かりませんが、何かしらで関わっているでしょう。自然と涙が込み上げてきました。マジです。真っ直ぐに見れません。只々、


 ――美しい。


 観音菩薩立像の指の先までが美しい。というか色っぽい。細身で長身な観音菩薩なのですが、後世の完成された仏像と違ってかなり艶めかしい。仕草の一つ一つが、どこか人間ぽい。親近感がありました。四天像にしてもそうです。威厳ぶっていなくて、かなり人間臭い。


「お前も苦労してきたんだな~」


 そんな言葉を掛けたくなります。仏像臭くない。それ以後の奈良時代、平安時代の完成された、また荘厳な仏像とはどこか違いました。僕は専門家ではないのでなんとも言えませんが、飛鳥時代を勉強してきただけに心に響きました。憧れる。


 残念なのは、聖徳太子の母親である穴穂部間人皇女あなほべのはしひとのひめみこを模したとされる菩薩半跏像が鑑賞できなかったことです。この像は後期に紹介されるそうで、5月20日以降でないと陳列されません。知らなかった僕が悪いのですが、ぜひとも観たいので必ず再訪します。教科書にも紹介される像ですが、かなりキュート。写真ではありますが、3300円の図録を買ってしましました。


 この時代の仏像は、蘇我馬子に囲われていた鞍作止利が影響しているはずです。また、聖徳太子との交流もあったはずです。聖徳太子は丁未の乱において、四天王像を掘るのですが、その技術は鞍作止利との関わりが大きかったと考えています。僕の想像ですが、オタク的な仏像マニアとして二人はライバル関係だったくらいに考えています。「超国宝ー祈りのかがやき展」は、非常に面白かった。


 GWの予定ですが、当初は雪山の白山を登ろうと計画していました。ところが、雪が多すぎて白山公園道路がGW中は使えないことが発表されました。非常に困った。他の選択肢を考えないといけません。雪山をやめて、当初の計画通りに諏訪湖周辺の歴史散策でも良かったのですが、何故か納得できません。3000m級の山を探しました。


 真っ先に思い浮かんだのは、乗鞍岳です。最も登りやすい3000m級。ただ、バックカントリーのスキー客が多いそうで、何故か気乗りしない。次に標高2763mの燕岳に照準を当てます。アルプスの女王と呼ばれているそうで、かなり感じが良い。ところが道中の道路がつい最近に崩落してしまい当分は登れないそうなのです。


 ――マジか~!


 気落ちしながら地図を北にズラします。白馬岳が見えました。僕の従兄弟は白馬岳から五竜岳を縦走して、その後滑落して亡くなりました。昨年、大杉谷から大台ケ原に登った折に山小屋で、一人の登山家と出会いました。彼に、記憶に残る山を尋ねました。


「白馬岳」


 僕の中では、標高2932mの白馬岳は大きな目標として残していました。いつかは登ろうと。いつかって、いつ?


 ――いま登るか。


 何だか心が定まってしまいました。白馬岳は、いま登るしかない。いや、登りたい。これは縁だと思いました。


 とまー、そういう訳で、GWは白馬岳を登ります。初心者の山ではありません。大雪渓の急登を、ピッケルを挿しながら登らないといけない。雪崩もあるそうです。でも、登りたい。これから、緻密に計画します。イメトレします。必ず、登って降りてきます。この地球を感じたい。憧れが止まらないのです。

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