熱燗を呑む
今朝、ヤフーニュースで日本酒の記事がありました。国内での日本酒の消費量は1973年の170万キロリットル超を頂点として下降を続けており、2023年は約39万キロリットルと四分の一以下に。今後は国内消費の増加は見込めないものの、輸出は堅実に増加しているそうです。そうした日本酒の魅力について、3人の海外の人にインタビューした内容でした。一人目は、外国人として日本で初めての杜氏となったフィリップ・ハーパーさん。酒蔵は、京丹後にある木下酒造になります。
記事ではフィリップ・ハーパーさんの修業時代の話も面白かったのですが、僕が興味を持ったのは彼が語る日本酒の魅力でした。一般的には新鮮な日本酒が好まれます。僕もフレッシュな味わいが大好き。ただ、ワインであれば熟成された味が好まれるように、日本酒にも熟成させた古酒というジャンルがあります。また、日本酒独特の飲み方として熱燗がありました。そうした日本酒の個性が今後は武器になる、と彼は語っていました。
昨年のGWは丹後半島周辺の歴史散策をしていたのですが、実はこの木下酒造に訪問していました。日本家屋の落ち着いた店内に、様々な日本酒が陳列されています。それぞれの商品に、その特徴や飲み方のアドバイスが添えられているのですが、僕の目に留まったのは古酒でした。この古酒は熱燗にすることで、干物との相性が抜群と紹介されていたのです。その日の夜は日本海に沈む夕日を見ながら、カレイの干物を焼いて、古酒の熱燗を飲みました。
――ああ、旨い。
古酒の冷は、味がぼやけていて少し酸味がありました。正直なところ旨いとまでは感じません。ところが、燗にすると香りが開くのです。味の輪郭が明確になり、旨味が増しました。おぉっと驚く瞬間です。また、干物との相性がこれまた抜群。新しい味の世界を知りました。そんな記憶があったので、フィリップ・ハーパーさんの記事がとても印象深かった。
今年のGWは白山に登ります。山から下りてきたら福井県の酒蔵を訪問する予定です。1軒目は、黒龍酒造。代表銘柄は、「黒龍」「九頭龍」。2軒目は、加藤吉平商店。代表銘柄は、「梵」。どちらも有名な酒蔵なので知っている方は多いと思います。折角の機会なので、そうした地酒を現地で楽しむのですが、お高い吟醸酒は買いません。店に入ってからインスピレーションで決めますが、普通のクラスで十分です。吟醸酒はとても美味しい。それは間違いない。でも価格が高すぎる。どちらかというと、僕は個性を楽しみたい。端麗辛口でなくても構いません。それよりも僕に新しい世界を見せてほしい。
前回と同じく、干物をアテにして熱燗でやります。熱燗が飲みたい。フィリップ・ハーパーさんの話を読みながら、GWが待ち遠しくなりました。




