罪と罰 〜NieR:Automata〜
一月ほど前の話になりますが、年末年始にゲーム「NieR:Automata」を遊んでいることを呟きました。今回は、その顛末になります。「NieR:Automata」を軽く紹介すると、2017年2月にスクウェア・エニックスから発売されたアクションRPG。ヨコオタロウが描く美しくも陰鬱な世界観が評価されて、数々の賞を受賞。発売から8年も経ったというのに堅実な売れ行きを見せていて、全世界で900万本も売れたゲームになります。
実は、NHKプラスにて、このゲームの紹介動画が配信されていました。初回の放送は2024年2月21日で、一年前の番組になります。RPGというのはストーリーがあるので、ネタバレは厳禁です。「NieR:Automata」を遊んでいることを僕は呟きましたが、内容については伏せていました。ところがNHKのゲームゲノムという番組では、原作のヨコオタロウが出席するなか、最終盤までのネタバレを披露するのです。これにはびっくり。番組で紹介される「NieR:Automata」の世界は、つい先日まで遊んでいた世界なので、僕にとってはあまりにも新鮮でした。
マルチエンディングの「NieR:Automata」は、最低でも5週しなければ物語の全容が分からない仕様になっています。遊び始めた頃は、5週も回るのちょっと辛くない?……と思っていました。ところが、5週目のエンディングを回収した後は、納得の充実感に満たされます。この物語の構成が実に素晴らしい。
アクションゲームは、敵をバッタバッタとなぎ倒します。「NieR:Automata」というゲームは、その爽快感が特に素晴らしい。正義感に駆られて気持ち良くロボットをやっつけていくのですが、物語が進んでいくと、敵であるロボットにも心があることが分かってきます。ロボットは、逃げまどい悲鳴をあげました。復讐から主人公に襲い掛かってきます。これでは、どちらが正義なのか分からない。ゲームのオープニングで、主人公である2Bは呟きます。
私はいつまで戦い続けるのだろう?
この血塗られた、戦場の渦の中
私はいつまで守り続けるのだろう?
終わることのない、無限の殺し合い中で
私はいつまで信じ続けるのだろう?
欺瞞と虚構に満ちた、この世界を
私はいつまで嘘をつき続けるのだろう?
その暗い未来に、絶望し続けながら…
全ての存在は、滅びるようにデザインされている
生と死を繰り返す螺旋に、我々は捕らわれ続けている
これは呪いか? それとも罰か?
けれど…許されるなら、願わせてほしい。彼の幸せを
ゲームの特性上、プレイヤーである僕たちは敵を叩きのめすことを楽しみます。しかし、ヨコオタロウは語りました。それは罪なことであると。ゲームの中とはいえ、その罪な行為に対して対価が必要だと考えます。それが、罰。この思想は、このゲームの根本的なテーマになります。この罪と罰の関係性は、ゲームの中の物語だけで終わりません。ゲーム最終盤では、ヨコオタロウはプレイヤーに対しても罰を求めます。ゲームの内と外。メタ認知。これ以上は語りませんが、非常に良く出来たゲームでした。というか物語でした。




