ヘシコ
診断を受けたわけではありませんが、昨日の記事の通りコロナに罹患したのではと疑っています。なので、あまり人と接触しないように気を付けているのですが、親しい友人から連絡がありました。
「太刀魚と鯵を釣ってきたけど、要るか?」
「要るか?」と問われて、要らないという選択肢は僕にはありません。「有難く頂きます」と返事をしたら、僕がコロナかもしれないのに、車で届けてくれました。友人の誠意に感謝です。ありがとうございます。
直ぐに食べるのなら、腹を裂いて内臓を取り出して、塩で軽く締めます。後は、網で焼いて頂きます……というのがルーティンなのですが、今回ばかりは僕の味覚障害の所為で、美味しく頂ける自信がありません。
現在の僕の症状は、塩味と甘味が感じません。美味しさの柱が薄っすらとしか分からないのです。舌には味蕾がありますが、舌の真ん中と奥の方がごっそりと抜け落ちたように、味を感じることが出来ない。ところが、舌の縁は生きています。実は、コーヒーと日本茶の美味しさは分かるのです。職場で上等の日本茶を淹れてもらったのですが、そのお茶の美味しいこと美味しいこと。滅茶苦茶に嬉しかった。
とまーそう言うわけで、今の僕は魚を美味しく頂けない。そんな僕に残された魚を美味しくいただく秘術は、未来へのタイムスリップ。僕がタイムスリップするわけではありません。現在の魚を、未来に届けるのです。しかも、より美味しくバージョンアップさせて送り届けます。
その秘術とは「ヘシコ」
ミラクルマジック「ヘシコ」
世界平和「ヘシコ」
「ヘシコ」とは古代秘術の亜種で、現代では近畿地方の北部にのみ、ひっそりと伝えられています。昔はどの家庭でもこの秘術を使っていました。一般的な通り名は「
ヌカズケ」と言います。現代では、大陸から伝来された「レイゾウ」の力によって、「ヌカズケ」の存在すらが忘れ去られようとしています。
そうした秘術の存在を知った僕は、密かにその技術を「ネット」から盗み出すことに成功しました。しかし繊細なその技術は、マメに混ぜてやらないと悪臭を放つことがあります。悪臭はタイムスリップの失敗を意味しました。数々のトライ・アンド・エラーを繰り返しながら、その微妙な匙加減を体得するに至ります。
古代の秘術「ヘシコ」。頂いた魚たちは未来に届けて美味しく頂きます。その時は、美味しい日本酒も用意したい。親愛なる友人へ。忘年会を企画するね。




