最後の点検
明日、丹後探索の旅に出かけます。2泊3日で600kmほど走る予定ですが、その為にスーパーカブのメンテナンスを行ってきました。キャブレターの洗浄に始まり、クラッチ板の交換と素人にとっては大掛かりな整備になります。そのお陰で、クラッチの繋がりが良くなりましたし、かなり調子がよくなりました。ただ、最高速に関しては、なかなか伸びないという問題は解消されないまま……そんな顛末を以前にご紹介しました。そんな話を聞きつけた友人の一人が僕のスーパーカブの為に、イグニッションコイルを用意してくれました。
「メチャ嬉しい。ありがとうございます」
イグニッションコイルとは点火プラグとバッテリーを繋ぐコードのことで、この部品が劣化すると、満足な電流が流れないため発火が弱まるそうです。エンジンを快適に爆発させるためには、良い空気と良いガソリンと良い火花が必要になります。イグニッションコイルの劣化から火花が弱まるというのは良くある事例らしく、交換してみました。
――おっと。快適じゃないですか。
実は交換する時に気がついたのですが、交換前のイグニッションコイルは真ん中あたりが扁平につぶれていたのです。これは僕の素人整備のせいでした。カウルを取り付ける際に、コードを巻き込んだままネジを締め付けてたようです。原因が分かったのでスッキリ。機嫌よく乗り回していたのですが、新たな問題が浮上しました。異音です。
カブに跨り体重を乗せると、キコキコと音が鳴るのです。今までそんな音が鳴ることはありませんでした。かなり大きな音で、ガラスに爪を立てるような神経に触る音です。ただ、どこから音が鳴っているのか分かりません。カブに跨り、子供が遊ぶようにボヨ~ンボヨ~ンと飛び跳ねていると、何となくお尻の下から音が鳴っているような気がしました。
スーパーカブの構造について理解が無かったのですが、後輪はスイングアームに固定されています。このスイングアームは一本のボルトで固定されており、名前の通りそのボルトを中心にして弧を描く運動をします。このスイングアームがサスペンションと連携することによって、地面からの衝撃を吸収することが出来るのですが、このボルトのことをピボッドシャフトと言います。この部分が腐食すると異音が発生することを突きとめました。
ネットの情報を頼りにピボットシャフトを抜いてみると、見事にサビていました。白い粉のようなものも噴いています。しっかりと磨いてグリスを塗って、元に戻したら異音がなくなりました。ほっと一安心と言いたいところですが、違います。一番大きな問題は解決できましたが、よく耳を澄ますと、僕のカブは所々で小さな悲鳴を上げていることに気がつきました。前輪のフォークの辺りや、後輪のサスペンションの辺りからも小さな異音が鳴っているのです。気になってしまうと、その音が耳から離れません。出発前ですが、最後の調整をこれからしようと思っています。




