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だるっぱの呟き  作者: だるっぱ
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ジョジョ

 3週間前、次男シンゴの為にアコースティックギターを購入したことを紹介しました。シンゴの練習方法は、大好きなロック音楽のフレーズをまねているのですが、アルペジオなのです。一つ一つの音を独立して奏でるのでとても難しい。対して、僕はビートルズの「Let It Be」一辺倒で練習しています。難しいFコードも押さえられるようになってきたのですが、メトロノームに合わせようとするとかなりの確率で押さえきれません。押さえが弱いと、ボヨヨ~ンとくぐもった音になってしまいます。それでも手は止めません。リズムを優先して、弾き続けます。何故なら、歌っているから。


♪When I find myself in times of trouble, Mother Mary comes to me

Speaking words of wisdom, let it be


 苦難で僕が苦しんでいる時、マリアが現れ僕に告げました。

 あるがままを受け入れなさいと。 


 僕はポールではないので、歌詞の真意を汲み取るのは難しい。意味深な内容になります。困難を目の前にして、あるがままを受け入れる。一見すると、ただ単に諦めているようにも感じられます。


「俺たちはキリストより人気がある」


 このようにジョンに言わしめたビートルズは、熱心なキリスト教徒から殺害予告を受けるなど物議も醸し出しましたが、その人気は留まることを知りません。正に時代の申し子でした。デビューから7年後、ビートルズのメンバー間で不協和音が鳴り出します。ビートルズ初期ではジョンがメンバーをけん引していましたが、晩年ではポールがビートルズをまとめています。ポールはリーダーとして、何とかビートルズを存続させたい。そんな中で作曲されたのが「Let It Be」になります。


 ビートルズから離れようとするジョンを、引き留めたいポール。当時のポールは、足元の大地が割れて崩れ落ちていくような苦しみに喘いでいたと思います。しかし、力づくでジョンを引き留めることは出来ません。引き留めようとすればするほど、ジョンの心がビートルズから離れていくのです。その狭間で揺れたポールの答えが、「あるがままを受け入れる」だったのでしょう。状況は全く違いますが、反抗期の長男ダイチと僕との関係を、なんだか重ね合わせてしまいます。そうしたビートルズの物語も含めて、70年代80年代のロックシーンについて次男シンゴとよく話をします。レッドツェッペリン、クイーン、ローリングストーンズ、イエス、エアロスミス……。そんな折、「ジョジョの奇妙な冒険」に話題が移りました。ご存じでしょうか?


 「ジョジョの奇妙な冒険」は荒木飛呂彦が綴る漫画です。読んだことは無くても、独特の絵のタッチくらいは見たことがある方はいるのではないでしょうか。フランスのルーブル美術館で、作品展が開催されたこともあります。アニメの評価も高く、僕も楽しく鑑賞しました。この作品の人気の理由は多岐に渡るのですが、その一つにロック音楽があります。


 この作品には、個性豊かなキャラクターが沢山登場するのですが、その一人一人が何かしらのロック音楽に関係しています。主人公ジョジョの師匠は「ツェペリン」というのですが、これはレッドツェペリンから引用されています。他にも、必殺技の一つに「キラークイーン」があります。これはクイーンの代表曲の名前になります。選曲がかなりマニアックなところもあり、ロック音楽の歴史に少しでも理解があると、ついニヤリとしてしまう漫画です。


 シンゴとの会話が盛り上がった流れで、ジョジョを考察したYouTube動画を観ることになりました。この動画がかなり面白い。ジョジョに関連するロック音楽が次々と流れていくので、ラジオを聴いているような楽しさがありました。ビールを飲みながら、僕はシンゴに問いかけます。


「ジョジョって、色んなロック音楽が使われているけど、ビートルズがないな」


「ホワイトアルバムがあるやん」


「ああ、確かに」


 そんな会話をしていると、ビートルズの楽曲「Eleanor Rigby」が流れました。なんと第一部のヒロインであるエリナ・ペンドルトンは、この曲を引用した名前だったのです。知らなかった……。その後も、次々と曲が紹介されるのですが、またビートルズです。最晩年の名曲「Get Back」が流れました。


♪Jojo was a man who thought he was loner

But he knew it couldn't last


Get back ,Get back

Get back to where you once belonged

Get back Jojo


 ジョジョは、自分のことを一匹狼だと思っていた。

 でも、そんなことは長くは続かない。


 帰って来い。帰って来いよ。

 お前がいた場所に。

 帰って来いよ。ジョジョ。


 ――えっ!


 ビックリです。「ジョジョの奇妙な冒険」のジョジョって、ジョンレノンからの引用だったのです。こんなにも分かりやすいのに、全く気が付かなかった。それよりも、ポールのジョンに対する思いが強い。未練タラタラです。


 ビートルズが最後に発売したアルバムは「Let it be」になります。ラストの3曲はポールの作品で、順番は次の通りです。全て、ジョンに対する想いを綴っていると思われます。

「Let it be」

「The Long and Winding Road」

「Get Back」


 ポールは、「Let it be」でジョンに対する思いに終止符を打ちます。「The Long and Winding Road」において、これまでのビートルズが辿って来た道のりを振り返りつつ、それでもジョンに寄り添いたい想いをポールは吐露しました。ラストの「Get Back」にいたっては、「ジョンよ、帰ってこい!」です。完全にジョンに対するラブコールです。とても人間臭い。


 ビートルズって、初期から後期までどのナンバーも最高なうえにアルバムとしての完成度も高い。更には、ビートルズの物語としても切ないものがあり、とてもエモいです。そんなことを思いつつ、ギターの練習に励みたいと思います。

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