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だるっぱの呟き  作者: だるっぱ
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我が家にギターがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!

 ビートルズが活躍したのは1960年代です。僕が生まれたのは1971年なので、ビートルズに縁することがありませんでした。テレビの中では中森明菜や松田聖子が歌っていましたが、彼女たちの歌にはあまり関心がなく、どちらかというとその容姿ばかりが気になる子供でした。僕の周りで、ボン・ジョヴィやヴァン・ヘイレンの素晴らしさを語る友達もいましたが、僕は特に影響を受けません。ビートルズを全く知らないまま、大学生になりました。


 大学で、バンドマンの友達が出来ました。とても陽気な子で、僕にビートルズの素晴らしさを語るのです。家に遊びに行くと、彼はギターを弾きながらビートルズの曲を歌ってくれました。更には、僕をコーラスに参加させようとします。音楽のことを全く知らない僕に、僕が歌うパートを丁寧に教えてくれます。分からないながらも一緒に歌った時に、痺れました。ビートルズが僕の中に、スッと入り込んだ瞬間です。


 それからというもの、ラジカセとウォークマンを購入して朝昼晩、隙間なくビートルズを聴きました。当時はレコードよりもCDの方が普及していましたが、CDを購入するのは予算的に厳しい。レンタル屋さんでCDを借りてきて、カセットテープに落とすのが普通です。ビートルズを聴きまくったのでカセットテープはノビノビになってしまいました。


 引っ越しのバイト先で、クラシックギターを譲ってもらいました。何だかテンションが上がります。一念発起して練習しました。どのような練習をしたのか、今では憶えていませんが、結局のところ挫折しました。四半世紀前の話です。音楽に関しては聴く専門になりました。ビートルズが開いた音楽の世界はとても大きく、色々な音楽を漁りました。ロックは勿論のこと、ジャズもクラシックも大好きです。子供たちの影響でアニソンも聴きます。最近のアニソンはかなり凄い。オープニングやエンディングだけでなく、ドラマの途中で流れるBGMにかなり気合の入ったものがあります。菅野よう子は特に有名で、アルバムは色々と集めました。他にも、メイドインアビスのBGMはマジで凄いです。オーストラリア出身の作曲家であるケビン・ペンキン……天才です。


 なかなか学校に行かない次男のシンゴは、僕の影響を受けてビートルズが大好きになりました。他にも、レッドツェッペリンやクイーン、最近のお気に入りはグリーン・デイだそうです。そんなシンゴと音楽の話をしている時に、ギターの話になりました。


「ギター、弾いてみたい?」


 シンゴが目を輝かせます。


「弾いてみたい」


 このタイミングは大切かなと思いました。ギターを買い与えても三日坊主で終わるんだろうな……みたいな思いもあります。実際に、シンゴは様々なものが三日坊主で終わってきました。ただ、今のシンゴには、心をときめかせる何かが必要なのです。もしかすると、それがギターかもしれない。


 子供は、親の思うように育たないことを最近は感じています。また、親の思うように育ててはいけないことも感じました。子供は親の操り人形ではありません。自我を持つ一人の人間なのです。そうした子供に対して、親が出来ることは環境を整えて寄り添うことだと思います。芽が伸びるか伸びないかは分かりませんが、そこは気長に待つ必要があるのでしょう。


 そんなこんなで初心者用のアコースティックギターが我が家に到着しました。シンゴは喜んで手に取ります。ところが、最初の音のチューニングから躓きました。セットに入っていたチューニングの機械で合わせようとするのですが、2弦だけがどうしても合わないのです。無理に合わせようとして、弦が切れました。予備の弦があったので再度合わせ始めるのですが、やっぱり2弦だけが合わせられない。


 気になった僕は、スマホを取り出してチューニングアプリをインストールして開きました。アプリに従って2弦を合わせてみます。出来ました。どうも付属のチューニング機械は故障していたようです。弦が切れたことで、心が折れかけていたシンゴもやっと笑顔になりました。ギターの練習を始めます。良かった。良かった。


 ギターが我が家にやってきたことで、何だか僕も気になりだします。パソコンを開き、「ギター、初心者、ビートルズ」と検索しました。ビートルズの曲は、初心者の練習に最適だと紹介されています。試しに、LET IT BEの練習動画を見てみました。あの名曲が、単純なコードの繰り返しで再現できると説明しています。コードのFが難しいけれども、Fを練習するんだと割り切って頑張ってくださいと語っていました。


 なんだか心の底から沸々と湧いてくるものがあります。熱い、熱いです。まずは、LET IT BEだけでも歌いながら弾けるようになりたい。そんな気持ちになっています。

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