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だるっぱの呟き  作者: だるっぱ
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映画を観てきました

 最近、少しづつですがランニングを続けています。酷暑ですし、無理はしません。いつもの万博を周回する12kmのコースを、ゆっくりと走ります。昨日は市場の休みでした。ですが、朝は出勤してお客様の対応をします。仕事は直ぐに終わるので、さっさと家に帰ります。台所にある洗い物を手早く済ませてから、家を飛び出します。最近のランニングのお供は、音楽ではなくコテンラジオです。走っている間、ずっと歴史のお話を聞いています。学校の講義のようです。面白い。走りながら勉強ができるなんて、非常にコスパが良いです。走っているお陰か、集中力も増しています。


 ダラダラと汗を流しながら、ランニングから帰ってくると朝昼兼用の食事の用意をします。夏休みになったので、子供たちがいます。昼前なのに、まだ寝ています。昨日の残りもののご飯を使って、カレーチャーハンを調理しました。スパイスをバンバン入れてちょっと辛めにします。僕の家には、大きな中華鍋があるので最大火力で――といっても家庭のしょぼい火力ですが――鍋を振ります。卵は多めで、美味しく出来たと思います。子供たちを起こして、食べろ食べろと急かしました。


 昨日は、子供たちと映画を見に行く約束をしていました。宮崎駿の「君たちはどういきるのか」です。世間では、作品に対する評価が分かれていて注目されていますね。怖いもの見たさという好奇心に突き動かされました。自転車に乗って、再び朝のランニングコースを走り万博に向かいます。


 昼の暑さは尋常ではなかった。中学一年生になる末っ子のレントは、渋々連れ出されているので元気がありません。自転車を漕ぐ足に力がない。僕と次男のシンゴの自転車に大きく後れをとっています。レントは、僕の息子たちの例に漏れず不登校で引きこもり気質です。家では、ずっとパソコンに貼り付いています。ガリガリに痩せているし体力がない。千里丘丘陵の上り坂に差し掛かると、足が止まってしまいました。


 ――えっ!


 坂道を下ってレントの傍に駆け付けます。力のない丸い背中を見て、無理をさせることは出来ないと感じました。僕が乗ってきた自転車は、近くのマンションにこっそり置かせてもらいます。レントと二人乗りで、僕は自転車を漕ぐことにしました。自転車のギアを低速にしても、二人乗りはきつかった。更に上り坂です。でも、気持ちは軽やかでした。子供たちを連れて映画に行く――それだけで嬉しかった。


 ダラダラと流れる汗をタオルで拭きつつ、映画館に入りました。冷房が心地よい。喉が渇いているので、ポップコーンと飲み物を三人分買いました。映画のチケットは水曜日ということもあり安く購入できたのですが、飲食代が驚く程に高いですね。財布とにらめっこして渋々払いました。


 面白かったのですが、映画の評価はしません。ただ、映画を観た後の感想や考察を、息子たちと話し合えたのが良かったです。面白かったで終わらない作品て、現代においてはかなり凄い挑戦なのではないでしょうか。昨今の映画や物語は、分かりやすさを重要視します。最近、アマゾンプライムで鬼滅の刃を観ましたが、登場人物は、状況や理由についてかなり雄弁に語ります。世界観が分かりやすく、因果関係がはっきりとしています。しかし、宮崎駿は違いました。


 分かりにくい内容に対して、ツッコミを入れる視聴者は沢山いると思います。評価が分かれた原因もそこにあったと思います。でもね、考えてみてください。僕たちが生きている世界って、科学によって何でも分かった気になっていますが本当にそうですか? 物が上から下に落ちる常識って、条件が違えば全く違う現象もあるんです。でも、信じている常識に縛られて、僕たちは疑問に思うことすらしない。


 不思議の国のアリスという作品があります。穴に落っこちると、その先に不思議の世界が広がります。チャシャ猫や走るウサギ、トランプの兵隊やクイーンの女王様など、奇天烈な登場人物が物語を引っ掻き回します。不条理が満載で、ツッコみたくなる内容ばっかりです。でも、考察するには十分な内容になっています。だから、今日まで名作として語り継がれていると思うのです。繰り返しますが、映画を観た後に息子たちと話し合えたことが本当に良かったです。分からないことに対して、自分なりの解釈を考える。素晴らしい勉強だと思いました。


 最近まで、僕は性の歴史について文章を綴っていました。知らない世界だったので、稚拙ながらも言語化することが僕の勉強になっています。最終回は、性の歴史から人権について述べる、と僕は宣言しました。この宣言が、現在僕の足かせになっています。


 「人権」は深い世界です。思い付きで文章化することに、しり込みしました。実は、子供たちの中学校や高校の教科書を引っ張り出しています。学生の頃は「公民」という科目が、ちっとも面白くなかった。しかし、最近の僕は「公民」を勉強する意味を感じ始めています。50歳を過ぎて歴史を勉強し始めて、改めて「人権」というものの解釈の重要度を知ったのでした。


 この世の中は、不条理で分からない世界です。人類がどのように生きてきたのかを考えることは、これからの未来を考えることだと思いました。

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