甘さとバランス
最近はお堅い文章の投稿が続いたので、今回は緩い内容です。現在は夜の9時頃、すっかり出来上がっています。キーマカレーをアテにして、ビールを3缶飲みました。美味しかったです。今回は、そのキーマカレーについて、僕なりの所感を述べたいと思います。
20年ほど昔の話になりますが、フルーツカフェを大阪市内で開業したことがあります。フルーツがコンセプトのカフェですが、お店の目玉メニューはフルーツキーマカレーでした。毎月のようにテレビに紹介されて、テレビ局に足を運ぶこともありました。自分で言うのもなんですが、美味しいカレーだったと思います。
料理を作りながら、いつも気にすることがあります。味のバランスです。僕は、専門家ではないので、的外れなことを言うかもしれませんが、一つの味に偏るというのは、バランスを崩す恐れがあると思うのです。
僕は仕事で、果実の売買を行っています。苺にしろ葡萄にしろミカンでも、消費者は甘さを求めます。産地も糖度の高い果実の育成に力を注ぐのですが、果実の美味しさは甘さだけではありません。適度な酸味を伴なって美味しい果実が完成すると、僕は考えています。比較的、僕の味覚は酸味が好きなので、その様に感じるのかもしれませんが、酸味を伴なわない甘さは、僕には水っぽく感じます。
キーマカレーという料理は、辛さを追求します。スパイスの基本は、クミン、ターメリック、それからコリアンダーです。他にも色々とありますが、この三つのスパイスがあれば基本的なキーマカレーを調理することが出来ます。それ以外に、大蒜や生姜、胡椒や唐辛子も必要になります。
微塵切りにした玉ねぎは、別のフライパンで飴色になるまで炒めます。僕の家庭では一回に調理するキーマカレーの量が多いので、フライパンと鍋を同時に使用しています。フライパンは玉ねぎ専用。鍋はひき肉専用です。
フライパンの玉ねぎが茶色く色づいたらトマト缶を投入します。一緒に水分が飛ぶまで炒めます。鍋では、大蒜や生姜、それから唐辛子を入れて油で炒めます。程よく火が通ったらひき肉を炒めます。火が通ったらそこにスパイスを投入します。スパイスの味は油に溶ける様なので、この段階でしっかりと炒めます。そうでないと、粉っぽい舌触りが残ります。注意してください。
鍋の材料に火が通ったら、水を少し加えます。コンソメも加えます。コンソメの使用が邪道だと言わないでください。簡単に味がまとまり深みが出ます。肉のうま味だけで味を引っ張り出すのは時間的にも難しいです。コンソメは、一般的なレシピでは材料に明記されていないことが多いですが、使った方が間違いなく美味しいです。
フライパンの玉ねぎを、鍋に投入して更に煮込みます。この時、水も加えます。塩コショウで味も調えます。基本的に、これでキーマカレーは完成します。しかし、味見をするのですが、何か物足りない。僕が求める味じゃない。
フルーツキーマカレーを提供していたころは、沢山のフルーツを使用していました。当時のカレーには、辛いながらも甘さがあったのです。ただ、今日の冷蔵庫にはフルーツがありません。隠し味に、みりんと砂糖を足しました。グツグツと煮ます。頃合いを見て、スプーンで味見をしました。
――美味い。
納得です。辛さが強調されるカレーですが、隠し味の甘さは味の立体感を生み出します。納得の美味しさです。そう言えば、バーモンドカレーの宣伝でも、リンゴと蜂蜜を強調していました。美味しさは、バランスだと思います。お酒もすすみました。
――美味い。