So What――だから何?
前回、ジャズに関する記事を書いたので、少し興奮しています。ウィスキーを飲みながら、一番大好きなJAZZアルバムを聴いています。
Kind Ob Blue――Miles Davis
音楽には好みがありますから、誰彼に勧めるわけにはいきません。それでも、多くの人にこのアルバムは聴いて欲しい……それほどに素晴らしい名盤です。まず、マイルス・デイビスという人となりを紹介したい。
マイルスを歴史的な愛称で呼ぶとすれば「モダン・ジャズの帝王」です。僕は、音楽家ではないので、音楽の詳しいことは分かりません。しかし、ジャズを聴く上では彼ほどジャズの歴史に影響を残した人はいません。彼の音楽に対する美的感覚はさることながら、もっと凄いのは彼が見出したジャズスターの数々です。
ジョン・コルトレーン
キャノンボール・アダレイ
レッド・ガーランド
ビル・エバンス
ポール・チェンバース
フィリー・ジョー・ジョーンズ
ウィントン・ケリー
ハービー・ハンコック
ロン・カーター
トニー・ウイリアムス
チック・コリア
正直、僕はジャズに関しては素人です。それでも、マイルス・デイビスに関係した人物を並べるだけでジャズの歴史が見えてきます。ここに挙げた名前のプレイヤーは、どれも一流です。彼らが絡んでいるアルバムは、どれもハズレは無いでしょう。それくらいに大物です。マイルスという人物は、自分が追い求める音楽の美しさに共鳴できる人物の選出にとても敏感でした。プレイヤーとしての技量もさることながら、才能を見つけ出す嗅覚もずば抜けていました。
そんなマイルスですが、彼の最高のアルバム決めるのは至難の業です。どれも最高。それでも、一枚を選ぶとしたら、僕は初期になります。
Kind Ob Blue――Miles Davis
どう表現したら良いんだろう。とてつもなく素晴らしいアルバムなんです。クラシックとは違って自由なんです。感情に訴えかけるフレーズが、随所に散りばめられています。繰り返しますが、僕は音楽的な知識はありません。兎に角、魂が震えるのです。
マイルス・デイビスは黒人です。偏見がありますが、当時は様々な偏見に晒されていたでしょう。悔しかったはずです。Kind Ob Blueというアルバムの最初の一曲が、
So What――だから何?
何です。格好良くないですか。反骨精神バリバリです。全ての人に一度聴いて欲しい。身に降りかかる困難を、軽くいなす様な軽快さがあります。押しつぶそうとする暴力に対して、
――だから何?
なんです。格好良い――――――――!
痺れます。普通はね、困難は不幸なんですよ。多くの人は恨み節だと思います。そうした不幸を、そよ風のようにいなします。
――だから何?
その感覚が最高なんです。クールで最高!!!!!!
マイルスの、そうした態度にまず痺れます。しかし、このアルバムの素晴らしさはそれだけではありません。兎に角、
――美しい!
それに尽きます。聴かなければ分からない。聴くほどに深まります。名盤中の名盤です。