次は表紙の作成です
以前、ペーパーバックの話をしました。拙書「逃げるしかないだろう」を、アマゾンのkindleを使って紙の本を制作する試みです。ネットでの投稿小説も、kindle出版でも、データはテキストを使いました。ところが、書籍として出版する場合、データはPDF化されたものを使います。作業的には似たようなものに見えます。ところが、いざ取り掛かってみると少し面倒でした。PDFは電子の紙なので、画像として処理されます。ですから、1ページごとのレイアウトを完成させておかなければなりません。Wordにお任せでは駄目なのです。今回の作業の最初の難関として、目次の作成がありました。
目次を作成するためには、ページ数を確認する必要があります。ページ数は、1ページに書き込む文字数で変わります。当初は、A5サイズに47文字×17行で設定していました。A5サイズの本は意外に大きいです。文庫本はA6サイズになるので、その倍の大きさ。書店にいけば分かるのですが、A5サイズの小説なんて売っていません。大きすぎるのです。
――A5、嫌だな。
レイアウトを変えることにしました。しかし、A6サイズだと1ページに入る文字数が少なくなります。それではあまりにもページ数が多くなるので、その中間であるB6で考えてみることにしました。個人で本を作る場合、B6のサイズって丁度良いと思いました。Wordのレイアウトを変更して、目次の作成に取り掛かることにします。
「逃げるしかないだろう」は、推敲が終わり40万字弱の長編になりました。この分量を上下巻の2冊で作成します。それぞれに目次を作るわけですが、元のデーターは、読みやすくするために空行を多用しています。この空行を全て取り去らないと、目次を作ることが出来ません。推敲ほど大変ではありませんが、もう一度、全てを目を通す必要があります。手動で空行を除きつつ、細かな推敲も行っていきます。大掛かりな推敲を終えた後でしたが、もう一度目を通すと、所々に間違いを発見しました。作業を進めつつ、目次の完成を目指します。ところが、途中まで作業を進めて、ふと思いました。
――何ページになるのだろう?
まだ、全ての空行を取り除いていませんから、正確なページ数は分かりません。しかし、凡その見当は付きます。なんと、上巻400ページ、下巻600ページです。唸ってしまいました。これではかなり分厚い本になってしまいます。ページ数が多いということは、価格も上昇します。作れなくはないですが、再考の必要がありました。
――考えるヒントが欲しい。
アマゾンのペーパーバックで調べても詳しい情報がありません。検索を繰り返していると、小説の同人誌について解説しているサイトを見つけました。今度は、ペーパーバックではなくて、同人誌で調べてみます。すると沢山の情報がヒットしました。世間では、意外に多くの方が小説の同人誌に取り組んでいることを知りました。分かったのは、書籍化のレイアウトだけではありません。そうした同人誌がコミケのようにフリーマーケット形式で販売もされていたのです。
――マジか!
新しい発見でした。小説のレイアウトに関しても、皆さん色々な意見をお持ちです。そうした情報と照らし合わせて、僕の作品のレイアウトが決まりました。当初、大きすぎると却下したA5サイズに決めました。同人誌として出版する場合は、かなりスタンダードな規格だそうです。更には、2段組みにします。1ページを上下2段に分けるレイアウトは、かなり抵抗がありました。しかし、作品の文字数から考えると、それが最適解です。進めていた作業も中断しました。レイアウトを変更して、一からのスタートです。
全ての構成を終えるのに、十日以上かかりました。結果、上巻228ページ、下巻310ページになりました。ページ数としては、半分に節約することが出来ました。色々と思う所はあるのですが、本文はこれで完成です。次は、表紙の作成です。
kindle出版の時は、表紙はJPEG[の画像を添付するだけでした。書籍化する場合は、画像だけでは駄目です。表紙、背表紙、裏表紙を含めた本を包み込む全体のレイアウトを作成する必要がありました。特に、背表紙はページ数が決まらないと、横幅の寸法が計算できません。ページ数も含めた構成が出来たので、いよいよ表紙の作成に入ります。
本を出版する。この一連の流れで、色んな事を経験しました。面白いです。これだけ一生懸命に取り組んでも、利益にはなりません。どちらかというと大損です。見る人が見たら無駄な行為に感じるでしょう。ただ、僕という人間は、こうしたことが好きなんです。若い頃から、利益にならないことばかりやって来たように思います。これまでに色々と試してきました。
自転車で野宿旅行をしました。100kmマラソンに挑戦しました。フルーツカフェを開業しました。家のガレージで陶芸に取り組みました。大きい声では言えないのですが、おちゃけを作りました、色々と。今回のように、小説も書いてみました。小説に関連して、聖徳太子の研究に興味を持ちました。他にも色々とあるのですが、これが僕という人間です。では、また。