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だるっぱの呟き  作者: だるっぱ
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デジタルネイチャー②

 デジタルネイチャーの意味について参照します。


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 デジタルネイチャーとは、「コンピュータと非コンピュータリソースが親和することで再構築される新たな自然環境」として捉えられる世界像である。メディアアーティスト・落合陽一が提唱する概念である。

 落合は、デジタルネイチャーを「人・モノ・自然・計算機・データが接続され脱構築された新しい自然」であると述べている。成熟したコンピュータ技術により、あらゆるものがソースコードとして記述され、人や自然などの「物質」と仮想的に再現された「実質」(virtual)が不断の連続的な関係に置かれる、それによって、旧来の工業化社会とは違った世界の在り方、価値観、環境が実現するという。

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 AlphaGoが、碁の世界チャンピオンに勝利したのが2016年3月です。今から7年前。その頃から、AIの技術が飛躍的に向上をはじめ、いつかAIが人間の知能を超えるのではないのか? みたいな話が語られるようになりました。そうしたAIが人間を超えていく境界のことを、シンギュラリティ(技術的特異点)といいます。そうした時代が2045年にやってくるという意見もありますし、いやもっと前倒しで実現されると言う識者もいます。AIが人間を凌駕するのか分かりませんが、そうしたAIと人間が共存する世界は目の前にやって来ています。その共存する世界のことをデジタルネイチャーと呼び、その先鞭として前回お話したChatGPTをはじめとするOpenAIと呼ばれるAIコンテンツグループが、誕生しました。


 AIというものは、僕たち一般人にとってブラックボックスです。だから、何か得体のしれない凄いものが生み出されているようなイメージがあります。デジタルネイチャーを日本語に直訳すると計算機自然になります。つまり、AIとは計算機なのです。僕たちが、電卓を使うことと同軸線上のはるか先にAIがいます。まずは、このことを押さえる必要があります。どんなに暗算が早い方でも、電卓のスピードには敵いません。それと同じように、AIは人間が行うには煩雑で難しい計算を、素晴らしく早いスピードで処理してくれます。


 例えば、ChatGPTが文章を生成するとき、そのソースはネット上に広がるデータを利用します。現時点でも様々なデータが世界中で生み出されており、その無限に生み出されるデータから関連する言葉を見つけて、必要な要点をまとめ上げます。画像を生成するAIも、原理は同じです。膨大な画像データの中から、関連するデータを抽出してそれらを組み合わせて、一つの画像として生み出します。


 アメリカのある小説のコンテストが、最近、作品の受付を停止したそうです。理由は、急激に作品が送り込まれて処理ができなくなったからです。これは、小説家を希望する人が増えたわけではありません。自動生成された小説が、次々と送り込まれたのです。凄い時代がやって来ているようですね。


 今後、ニュースの文面はAIが自動的に文章を生成するでしょう。ネット上の素晴らしい画像は、AIが生成したものが使われるでしょう。BGMも、AIが生成したものが主流になると思います。多くの商業的なコンテンツは、AIがその屋台骨を支える。そうした時代がやってきます。


 ここで注意しないといけないのは、AIはそうした言葉や画像を理解して生成しているわけではありません。膨大なデータから中庸を生み出しているのです。平均値といっても良い。計算の精度により、右に振れたり左に振れたりすることはあったとしても、あくまでも存在するデータを元にして、計算して繋ぎ合わせて生み出しているのです。


 昔、藤子不二雄の怪物君という漫画がありました。主人公の怪物君に付き従う、コミカルな三人トリオがいました。ドラキュラ、狼男、そしてフランケンシュタイン。フランケンシュタインは、人間を繋ぎ合わせて作った怪物です。AIが生成するコンテンツって、あのフランケンシュタインに似ていませんか?


 AIを理解する為に、ローテクノロジーを振り返ってみたいです。人間は、火を使うようになり、車輪を生み出し、人間の生活を豊かなものにしてきました。自動車は、多くの物資を運ぶだけではなく、人間を遠くへ運ぶことが可能です。科学はどんどんと進化してきました。ここで問題です。


 ――自動車と人間が駆けっこしたら、どちらが勝ちますか?


 条件は特に指定しませんが、単純な速さだけでいうと自動車が早いでしょう。サーキットで競争したとしたら、人間がサーキットを一周する間に、自動車は10周も20週も走ります。敵いっこありません。僕は将棋が好きなのですが、将棋AIが人間の頭脳を超えているのは、今では周知の事実です。そのように、テクノロジーの発展は、人間の力を大きく超えていきました。


 ここで、先程の問題に一つの条件を付けます。自動車に運転手が居なかったら。間違いなく、人間が勝ちます。だって、自動車を動かす人がいないのだから。ここで、自動制御だったら、という反論もあるかと思います。現在、世界的に注目されている技術ですね。でも、その自動制御にしても、人間が目的地を入力してあげないと、自動車は走り出すことが出来ません。


 つまり、何が言いたいのかと言うと、AIは人間にとって道具だということです。AIの長所を理解して、人間が使う分には何も問題はありません。有益な道具として重宝されるでしょう。しかし、AIに人間が使われると、これは怪物に変化します。デジタルネイチャーな世界は、その技術と相対して、人間の存在について問いかけていると思います。ここを、しっかりと押さえないと、摩訶不思議なデジタル神を崇めるような、そんな世界になってしまいそうです。


 次回は、その事について、もう少し掘り下げて考えていきたいと思います。

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