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だるっぱの呟き  作者: だるっぱ
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ペーパーバック

 ビートルズの名曲のひとつに「Paperback Writer」があります。シングルカット――死語?――されていて、アルバム「Past Masters」に収録されています。軽快でテンポが良く、とても楽しい曲なのですが、意外にもラジオ等で耳にする機会がありません。


 小説家を夢見る人物が、自身の作品を売り込む為に、出版社に手紙を送った内容が歌詞になっています。その人物の熱意が凄いのですが、少しプライドがない。頭を下げる必死さがコミカルで、曲の楽しさをより一層盛り上げています。小説家になりたいと、小説を書きたいは意味が違います。最近は、そんなことを考えることが多くなりました。


 この間、kindleで自作を出版したのですが、現在はkindleのサービスの一つである「ペーパーバック出版」に取り掛かっています。同じアマゾンで展開されているサービスですが、出版するまでの作業は全く違います。


 kindle出版はネット上で展開されるサービスなので、データーである本文にマークを挿入する必要がありました。そのマークがないと画面上に正しく表示されません。推敲と並行しながら、そうした地味な作業を繰り返していました。


 ペーパーバックでの出版は、そうしたマークは必要ありません。本文は出来ているわですから、作業は簡単そうに見えます。ところが、意外に難敵でした。ペーパーバックで出版する場合、テキストデータではなくてPDFに転換したデーターが必要になります。PDFということは、一つ一つの文字ではなくて、ページ全体を画像として認識します。つまり、そのまま印刷できるように版下を用意しろということなのです。


 僕の文章には、問題がありました。セリフの前後に一行づつ空行を挿入しているのです。ネットでの投稿小説なら、その方が読みやすかった。kindle出版の時も、この空行は自動的に詰める仕様になっています。負担はありませんでした。ところが、PDF化されたデータを用意するためには、手動でこの空行を消さなければなりません。40万字全てに、目を通す必要があるのです。


 ――えっ!


 ちょっと躊躇いました。また、延々と長い長い自分の小説に目を通す……あの気の長い作業を、また繰り返すのか……と、思いましたが、作業に取り掛かると、思いのほか面白い。夢中になっています。


 紙で製本する本というものは、開くと2ページ分が現れます。その2ページを読むとページを捲り、先を読みます。そうした当たり前の作業を繰り返しながら、本を読みますよね。僕は、この2ページに取りつかれました。


 文章というのは、途中で途切れて次のページに跨ると、非常に読みづらい。僕は、この文章が途切れるということを解消する為に、工夫することにしました。一行だけ減らしたい場合は、何処かの無駄な言葉を削るか、別れていた段落を合わせます。逆に、一行だけ増やしたい場合は、反対の作業をします。重要なのは、見開き2ページに、キッチリと言葉が収まっている事です。


 ゲームに、「テトリス」とか「ぷよぷよ」がありましたよね。上手くはないのですが、ああしたゲームが大好きでした。特に、画面のブロックが完全に消えた時って快感です。僕にとって、2ページの中にキレイに文字を収める行為は、パズルでした。一つ一つステージをクリアしていくような感覚で、作業を繰り返しています。

 

 ――内容だけでなく、文字の配置や装丁まで、自分のイメージで作り上げる。


 楽しい作業です。

 そうした作業に伴って、やっぱり推敲も繰り返しています。今回の推敲内容は、ネット上では反映されません。出来なくはないのですが、作業が煩雑になるのでやめました。ということは、製本化された「逃げるしかないだろう」は完全版になります。完全に自己満足の世界です。僕は、少しばかり変人なことに気が付きました。


 今日は、先週に続きセミナーがあります。キトラ古墳と高松塚古墳の壁画について講義を受けます。僕の中に、飛鳥時代の情報を次々と詰め込みたい。坩堝のように、燃やして精製して、純化された聖徳太子を生み出したい。これも楽しみです。

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