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だるっぱの呟き  作者: だるっぱ
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自転車旅行

 酷暑の中の昼下がり、家でゆっくりとしていると僕のスマホが鳴りました。画面を見ると中学2年生になる次男のシンゴからでした。


「どうしたんや? SOSか?」


「そうやねん」


「喉が渇いたんか」


「うん」


「お金は?」


「持ってない」


「アホやなー、それくらい持っとけよーー。クッソ暑いのに・・・」


 シンゴは、自転車に乗って太陽の塔がある万博の外周を走っている途中でした。実は、来週のお盆に、自転車で大阪を出て、琵琶湖を自転車で一周する予定なんですが、シンゴは体力がありません。練習のつもりで自転車に乗って飛び出したものの、暑さの中、ヘタバッテしまったのです。僕はスーパーカブに乗って、直ぐにシンゴの元に駆けつけました。途中で購入したポカリスエットを手渡すと、シンゴはあっという間に500ミリを飲み切ってしまいました。


「これも、ええ経験や。失敗したことで、これからは対策を立てることが必要なことが勉強出来たやろ」


 分かったのか分かっていないのか、シンゴは頷きます。


「残りの距離、頑張って走れるか?」


「うん」


「頑張りや!」


 僕は、シンゴを後にして、スーパーカブを走らせました。中学2年生の子供に自転車で琵琶湖を一周させることに、異論のある方はいるかと思います。僕は、シンゴくらいの頃から、自転車で琵琶湖を一周することを経験していたので、特に深刻には考えていません。シンゴが決めたことを、シンゴが行動に移す。それだけで、素晴らしいことだと考えています。ただ、嫁さんは心配しています。特に、事故を心配しています。ですから、その折衷案を考えました。


「初めての自転車旅行」


 初めてのお使いという番組がありますよね。小さな子供が、お母さんに頼まれて買い物に行く。その様子を、こっそりとカメラに収めて、視聴者が微笑むあの番組です。あの番組の、自転車旅行バージョンをガチでやろうと考えています。シンゴのスマホのGPS追跡アプリも使って、自転車旅行のシンゴを軽トラックで追いかけるのです。何もなければ、そ知らぬふりをして、帰ってきたシンゴを大絶賛する。何かしらの事故が発生すれば、直ぐに駆けつける。そんなことを、嫁さんに話しました。


「それ、ストーカーやん」


「!!」


 そうなるのか。

 うーん、どうしよう。

 でも、面白いから、やろうかな。


 そんなことを計画している、だるっぱでした。

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