~第二の錦織圭たちに贈る言葉(37)~『最大エネルギーの打球を打つ練習をせよ』
〜第二の錦織圭たちに贈る言葉(37)〜
『最大エネルギーの打球を打つ練習をせよ』
1. まえがき;
当たり前のことであるが、プロテニスプレーヤーは勝つために練習をする。
アマチュアプレヤーのように趣味と健康のためにテニスをしているのではない。
例えばウィンブルドンで優勝すると云う『目的』(目標ではない)を定めたとする。
それにはどのような技術、体力、精神力(忍耐力)を身に着ける必要があるのか。
それを身に着ける為に効率の良い具体的な『手段』(練習方法)は何か。
1970年代、VE(価値工学)と云う考え方が流行したことがあった。
企業は生産効率を上げてコストダウンをするためにVEを組織的に実行したものである。
例えば、トヨタ自動車は「ジャストインタイム」と云う部品調達手段を考え出した。
従来は自動車部品を自社工場内の倉庫にストックしていたが、部品倉庫の管理費や生産中止になると廃棄すると云う無駄が発生していた。そこで、受注生産方式を採用して、『必要な時に必要な量の部品を調達する』という手段で自動車を組み立てることにしたのである。
VEを簡単に云えば、目的を達成するためには手段がある。この手段の持つ機能を目的と考えれば、その目的(機能)のための手段を考えることになる。さらに、この手段の機能を目的とすれば、さらにどのような手段があるのかを考える。このように、VEは目的と手段の機能をツリー状に繰り返して行き、そこから無駄な手段を見つけ出して、効率の良い製造方法を採用するのである。じつは、VEで目的を達成するには念力がいると言う講師(私のVE指導者)がいた。(執念が大切と云う事であろうか?)
まあ、それはさておき、『ウィンブルドンで優勝』と云う目的を達成するための練習手段をVE的に考えると表題の文言が出てきた。
2. 贈る言葉;
贈る言葉(1)では、テニスは衝突問題であると述べた。
『ウィンブルドンで優勝』するには、ジョコビッチ選手などのトップ10プレーヤーに勝たねばならない。とすれば、まず強力な打球を打てなければならない。
ラケットで叩かれた飛球速度(V)のボール(質量M)の持つ運動エネルギーはM×V×V÷2である。
また、回転スピンが掛ったボールの回転エネルギーはI×Ω×Ω÷2である。
(Iはボール回転軸まわりの慣性モーメント、Ωは毎秒回転数に依存する角速度)
更に、ボールが固有振動数で収縮膨張しながら飛ぶときの振動エネルギーはM×A×A×ω×ω÷2である。
(Aは収縮膨張する振幅の大きさ、ωは角振動数と呼ばれる毎秒の振動回数)
上記のことをまとめると
打球エネルギー=運動エネルギー+回転エネルギー+振動エネルギー である。
打球エネルギーが大きければ大きいほど、相手選手は返球に苦しむことになる。
運動エネルギーを大きくするのはラケットとボールがインパクトする瞬間が長く、大きな力でボールをたたくことである。
回転エネルギーを大きくするのは、インパクト中にスピンをかける技術に依存する。
振動エネルギーを大きくするには打球に込める『気』の大きさが関係する。
『ウィンブルドンで優勝』するには、腕力、トップスピン技術、気力が他の選手より優れていなければならない。
さて、腕力、トップスピン技術の向上させる方法は省略するが、
気力を向上させるには、空手や合気道の呼吸法・練習方法をマスターする必要がある。
それは下記の文献にゆずる。
3.あとがき;
1.まえがきで『ジャストインタイム』の話をしたが、現在、自動車・オートバイメーカーは、ほとんどが受注生産方式を採用している。
今年の2月に原付50㏄バイクの新車を購入するためにバイクショップへ行ったが、店の人から「いつ入荷できるか判りません。」と言われた。
何故かと問うと、「バイク製造がインド・東南アジアの工場で行われているが、コンテナ船が動かないので日本に何時に到着するかは不明」という返事であった。さらに、何故にコンテナ船が動かないのかを問うと、「世界中のコンテナ船関連企業のほとんどが中国資本に買収され、中国が世界のコンテナ物流をコントロールしているとのバイクメーカーからの回答です。」と店員は言った。
そこで、販売店グループが所有している製造年代の古い型落ち新車を購入することで事なきを得た。
このように、長所も視点を変えると短所になることがるある。
同様に、テニス技術の使い方もケースバイケースで使い分けていく柔軟な対応が勝利を呼び込むことになる。
『諸君の健闘を祈る』
目賀見勝利より第二の錦織圭たちへ
2021年4月29日
参考文献; 気の発見 西野皓三著 祥伝社 平成元年12月 初版第一刷発行
気の超力 西野皓三著 実業之日本社 1995年1月 初版発行
気の威力 藤平光一著 幻冬舎 2014年12月 第一刷発行
わが空手五輪書 大山倍達著 講談社 昭和50年11月 第一刷
丹田呼吸法 村木弘昌著 三笠書房 1988年6月 第一刷発行