ある宇宙人ズの苦悩!!
こちらのお話は、マンガを小説で書いてみよう!
と、ちょっと実験的に書いてみました。
なので、マンガのコマ割りを思い浮かべて頂きますと、読み易いかと思います。
1コマめ 横長 ーー宇宙空間ーー
我々の住む地球を含む太陽系の少ーし外側を、宇宙船団が航行していた。この船団の数は凡そ1000体といったところ。数こそ多いが、かなりボロい。
船団のドンの大声が宇宙船の外にまで響いている。
「ぐおおおおっ、やっと逃げ出せた! 全く、宇宙戦争なんざやるもんじゃねぇな!! 味方が減っちまったし、船が斜めにしか進まねえっ」
効果音『キュイーーンッ』
2コマめ 横長 ーー惑星発見ーー
「ドン!見て下さい。あそこに青くてキレイな星がありますよ! どうやら、生き物が住んでる様です!」
宇宙船内のスクリーンは2画面に分かれ、左上には太陽系が映し出され右下に地球がクローズアップされている。
「何ぃ!? よし、データを出せ! ……お、どうやら我々の故郷の環境に、かなり近いみたいだな。よし、この星の知的生命体を滅ぼし、ここを乗っ取ってやろうではないか!! その為には、まずは良く偵察しなければならんな。全船、スケルトンのスイッチを押すのだ!!」
効果音『シュッ!』
宇宙船が透明になる、の図。
3コマめ 右半分 ーー惑星探査その1ーー
透明になった宇宙船団が偵察しに来たところは、ハリウッドの映画撮影所だった。丁度、ゾンビ映画の撮影中である。
ということは、つまり……。
「ぐおおおおっ、何なんだ! あのおぞましい姿はっ!」
別の船からも悲鳴が上がる。
「なんて野蛮な奴等だ! 共食いしてるぜ!!」
4コマめ 左半分 ーー惑星探査その2ーー
ワープ機能を使って次に彼らが向かったのは、日本……東京都……秋葉原……地下。
オタクの聖地であった。
ドンの乗った宇宙船の部下達が、震えながら言う。
「なんか、踊ってますよ……? 一心不乱に。」
「まさか、我々の存在に気付いたのか!? 何か特殊な呪いをかけられているのか……!!」
5コマめ 横長 ーー結論ーー
「大変です、ドン! これを見て下さい!」
部下が見つけたのはレンタル屋の中のヒーロー物のコーナー。宇宙人達はその特殊技術により、内容を瞬時に理解した。
「なんなんだ、あの目からビームとか、赤マントで一瞬で空を飛んだりとか、あっちの奴は大岩を瞬時に砕いたぞっ……。」
「恐ろしい星だ……。」
「ドン! 逃げましょう! こんな奴らのいる星は、我々には手に負えません!!」
「ううむ、確かに。全船体、惑星離脱だ!! 上昇するぞっ!」
地球人にとっての娯楽であるヒーロー物のDVDを、ドン達は惑星の歴史を記した物だと思った様だ。
6コマめ 横長広め ーー惑星脱出ーー
突然変な音が遠くから聞こえ始め、宇宙船を追いかけて来た。
効果音『シュルルルルーッ』
続けてすぐ側で破裂音がし強い衝撃が宇宙船団を襲う。
『ドッカーーーーン!!』『ピューーッ』『ドカーン!!』
「うわっ、何だーーーっ!?」
「敵か!? 敵の攻撃なのか!!」
慌てて窓から地上を見下ろすと、この星の知的生命体が大勢集まっており、宇宙船団を見上げた顔は一様に笑顔であった。
「……まさか、本当に我々の存在に気付いていたのか!? 恐るべし、青の惑星。二度と来るものか。全船に告ぐ! 全速力で逃ーげーろーーっ!!」
宇宙船団が地球の東京にやって来た日、その日は丁度、大江戸花火大会の日であった。
逃げ出す船団と花火の図。
こうして、地球の平和は今日も保たれたのであった……。
完