動かぬ体
《サイド:????》
あれからどれほどの時が過ぎたのだろうか。
外法の儀式を執り行ってからかなりの時間が経ったように思うのだが、
丸一日が経過したと思われる状況でも体の自由を取り戻すことは出来なかった。
(…この身はどうなったのだ?)
視界が真っ暗で何も見えない。
いや、どちらかと言えば目を閉じていて見えないと言うべきか。
意識としては目覚めようとしているのに、
体がいうことをきかないという不思議な状況だった。
(…さすがに死んだわけではあるまい。)
もしもそうなら意識があるのは不自然だからな。
手足の感覚さえもなくて一切身動きが出来ない状況だが、
それでも自分が生きているという感覚だけは実感することが出来ている。
(…これはどういうことだ?)
儀式に失敗して体の感覚を失ってしまったのだろうか?
もしもそうならこれほど情けない話はないと思うのだが、
どうやらそこまで深刻な問題に陥っているわけではなさそうだった。
『…心配するな…。』
(…ん?)
この声は誰だ?
『…汝の体は覚醒中にある…我等の力が馴染めば再び動けるようになるであろう…。』
ほう、そういうことか。
どうやら俺の体は魂寄せによって得た力を扱えるようになるために調整されているらしい。
(…ひとまず儀式は成功と言うことか?)
『…それはどうだろうな…。』
違うのか?
『…汝の意識は残っているが、我等の意識も統合されることになる…。』
それはどういう意味だ?
『…汝の魂に我らの魂が組み込まれるのだ…。』
魂に?
『…それがどういう意味かは、次に汝が目覚める時に知ることになるだろう…。』
(………。)
ずいぶんともったいぶった言い方だな。
『…言葉に意味はない…まもなく我らは統合されるのだからな…。何も言わずとも…全てが分かるようになる…。』
ほう、なるほどな。
要するに目覚めれば全てが分かるということだ。
(…だったらそれまで待つまでだ。)
『…それで良い…。目覚めの時は近いのだからな…。今は大人しく待つが良い…。』
ああ、そうさせてもらう。
すでに何も出来ない状況だ。
足掻くだけ時間の無駄なら待つしかない。
(もう少しだけ眠らせてもらうぞ。)
再び体の自由を取り戻すまで、このまま大人しく待つことにした。




