二つに一つ
《サイド:御神涼》
(…なっ!?)
どうしてこんなことに?
「一体、何が!?」
宝物庫を脱出して洞窟を抜けてみると、
城内には兵士達の死体がいたるところに転がっていたんだ。
「お、お兄様…っ。」
目を覆いたくなるような光景を前にした唯が震える手でしがみ付いてくる。
「どうして…こんなことに?」
(…分からない。)
僕にだってわからないんだ。
「どうやらわしらが留守の間に何者かが侵入してこの城を襲ったようだな。」
ええ、そのようですね。
周囲の死体を観察していた師匠は真剣な表情に変わっていく。
「どうやら侵入者はごく少数…1人から4人くらいが妥当か。だが争ったと言うよりは一方的に攻撃を受けたように見えることを考えると敵は陰陽師か?もしくは全く別の勢力が…。」
別の勢力?
それは噂に聞く魔術師達のことだろうか?
国内にはほとんど存在していないはずだけど、
国外には数多く存在していると聞いている。
(一応、南東にある共和国の魔術師達は講和派だと聞いていたけれど…。)
共和国以外の魔術師達は武闘派が多いようで、
実際にアルバニア王国も何度か魔術師達の襲撃をうけたことがあった。
そのせいで国内では常に魔術師狩りが行われているんだけど。
今回のことはそれらが関わっているのだろうか?
「な、何が目的なのでしょうか…?」
渚は恐怖のあまりに言葉が震えている。
「こんなにもひどいことをしてまで…。」
(………。)
分からない。
敵の目的もそうだけど。
そもそも敵の正体が分からないんだ。
この状況で推測するのは難しい。
「今後どうなるかは分からんが、ひとまず地下宝物庫が狙いではないのは確かなようだな。」
そうなのだろうか?
「わしらが洞窟を抜けてからこれまで敵とは遭遇していない。だとすれば敵の目的は別にあると考えるべきだろう。」
なるほど。
言われてみればそうかもしれない。
「そして王城を襲う以上、単純に考えれば目的は宝か王族の命の二つに一つだ。」
財宝か王族か。
敵の目的はどちらなのだろうか。
「現時点で考えられる可能性は陽炎等が保管されている上層の宝物庫か…もしくは武尊達の命だな。」
「…えっ!?」
師匠の言葉を聞いた唯の顔から血の気が引いていった。
「お、お兄様!?」
「ああ!わかってる!」
戸惑う唯の言葉を遮る。
今はもう立ち止まっている場合じゃないからだ。
「行こう!!」
父上を守るために、全力で走り出すことにした。




