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THE HANGED MAN  作者: SEASONS
1日目
56/499

炎上

《サイド:不動幻夜》

そろそろ半刻が過ぎた頃だろうか?



恭子様の指示通りに、時間を見計らって動き出すことにした。



「ここから王城まではまだ僅かに距離があるのだが…。」



そもそも恭子様はなぜ半刻も待たせたのだろうか?



今までずっと考えていた疑問を口にしながら王城に向かって歩き出す。



そうして王城に近づいていくと、『ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!』と、まるで地響きのような低く静かな唸る様な音が聞こえてきた。



「…何だ?」



王城に近づくにつれて、異様な音が大きくなっていく。



「ま、まさか…!?」



最初はただの風の音かと思ってしまったのだが、

王城に近づくほど音が大きくなるということは王城で何かが起きているとしか思えなかった。



「すでに手遅れでなければいいのだが…っ。」



大きな不安を抱えながら一気に駆け出す。


そうして全力で王都を走りぬけたことで立ち止まっていた場所からものの数分で王城に到達することが出来た。



(…これは何の音なのだ?)



王城に近づけば近づくほど大きな轟音が響き渡っていく。


だけど王城そのものに異変は感じられない。



「どこから音が発生しているのだ?」



王城はすでに姿を見せている。


だが見える範囲において王城に普段と違う部分はない。



強大な門の前に立って中に視線を向けてみても、音の正体は分からなかったのだ。



(…だが、この焼けるような臭いは何だ?)



火が存在しないうえに煙も上がっていないのだ。


それなのに異様な匂いだけが漂っている。



「ただの地鳴りでもないことは確かだ。だがその理由が分からない…。」



とにかく王城に入るしかないか。


そのために城門に手をかけた瞬間に、目の前に広がる光景が一瞬にして変化した。



「なっ!?馬鹿なっ!?」



城門に触れた瞬間に瞬時に王城が燃え上がり、辺りは火の海へと化したのだ。



「王城が燃えている!?」



だが一瞬でこれほど燃え上がるなどありえない。



「ま、まさか王城全体を覆うほど広大な幻術で火事を隠していたのか!?」



それならば音の理由は納得できるものの。


これほど強大な幻術など人に生み出せるものではないはずだ。



「やはり父上が何かを仕掛けているのか!?」



大規模な召喚の儀式を行った理由がこれだとすれば、

父はすでに王城に攻撃を仕掛けているということだ。



「もはや一時の猶予もない!急いで国王を守らねば!!」



燃え盛る王城への侵入を決意した。



「まずは謁見の間に向かうべきか。」



城門を破壊してから王城に向かって走り出すことにしたのだが、

周囲に広がる凄惨な光景を目にして唇をかみ締めてしまう。



「くそっ!」



火の手によって王城はほぼ全焼しているうえに、

いたるところに死体が満ち溢れているのだ。



「王城を守る一級陰陽師が束になっても敵わないのかっ!?」



父の実力は知っていたが、これほどまでに強かっただろうか?



(…分からない。)



そもそも父の全力というものを見たことがないということもあるのだが、

7年前の鬼との戦いを思い出す限りではこれほどではなかったはずだ。



だとすれば、この数年でさらに強くなったのだろうか?



あるいは父は何かを知ると同時に人を越えた力を手に入れたのかもしれない。



(もしくはこの状況を作り上げるために何かを召喚したのか?)



単独で王城を落とすのは不可能だ。


だがもしも仲間がいるとすれば?



(…何を召喚したのかは分からないが、とにかく今は進むしかないか。)



城の各所で倒れる仲間達の遺体を横目に、謁見の間に向かって走ることにした。



「もしも父の目的が秘宝なら…現状で向かうべき場所は2ヶ所。宝物庫か国王の私室のどちらかだろうか。」



直接宝物庫に向かう可能性も考えられるのだが、

もしも父が最善策を考えているのなら国王の捕獲を優先するような気がする。



秘宝を手に入れるためには国王を捕獲したほうが効率的だからだ。


宝物庫の鍵もそうだが、

国王の協力があれば道中の罠も回避できるはず。



「だとすれば、まずは国王の安全の確保が最優先か。」



おそらく父もそこにいるはずだと考えて謁見の間の奥にある国王の私室に向かうことにした。





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