追跡は一人で
父は何を言っているのだろうか?
世界の真相と歪められた歴史。
それらが一体どういう意味なのか?
疑問は募るばかりだったが、
肝心の父はすでにどこかに行ってしまったために話を聞くのはもう無理だ。
「…困ったな。」
「ああ、嫌な予感しかしねえよな。」
素直に思ったことを口に出してみると、八雲も困惑している様子だった。
「親父が何を言いたかったのか分からねえが、このまま『はい、そうですか』ってわけにはいかねえだろ?」
「だったらどうするつもりだ?」
「とりあえず親父を追跡してみる。今ならまだ追いかけられるはずだ。」
追跡か。
父を尾行するなど出来るものだろうか?
さすがに八雲一人では荷が重いと思う。
「それなら俺も…。」
「いや、兄貴は杞憂様に会いに行ってくれ。一応、呼び出されてるわけだしな。ここで二人揃ってまたいなくなったらそれこそあとで面倒だろ?」
(…ああ、まあ、な。)
「だから親父の追跡は俺一人でやる。まあ、失敗したらすぐに帰ってくるけどな。」
「無理はするなよ?」
「あの親父を追跡するって時点ですでに無理があるけどな。」
(…ははっ。)
確かにその通りだ。
「王都から出なければならないようならすぐに撤収しろ。少なくとも六詠山に向かうようなことはするなよ?」
「ああ、それは分かってる。もしも王都を出なければいけないようなら兄貴に相談するから待っていてくれ。」
「分かった。」
「良し。それじゃあ、行ってくるぜ。」
「頼む。」
「おう!」
再び失踪した父のあとを追うために、八雲は一人で追跡を開始した。
この判断が正しかったのかどうか?
それはまだ分からないものの。
ひとまずこの場に残ることにした俺は、今もまだ私室にいるはずの杞憂様に会いに行くことにした。




