頃合い
《サイド:不動幻夜》
「はあ…っ。はあ…っ。」
八雲が肩で息をしながら、その場に座り込んだ。
そして大の字に寝転がって深呼吸を繰り返している。
「あー、疲れた…。」
ああ、そうだな。
昼食を終えてからずっと六詠山の調査を続けていたのだが、
数時間かけても結局、父の手掛かりを見つけることは出来なかった。
そのせいで疲労感だけが蓄積して諦めてしまいそうな気持になってしまう。
「やはり外周にはいないのかもしれないな。」
「だったら内側か?」
…かもしれない。
だが、そうなると今の俺達では手も足も出ないだろう。
六詠山の外周を見て回るだけでも神経を張りつめなければいけない状況なのに、
山頂を越えて反対側まで向かうとなると魍魎との戦いが精一杯になってしまって父の捜索までは手が回らないだろう。
「こうなるとそろそろ頃合いかもしれないな。」
「帰るのか?」
「仕方がないだろう?まもなく日も暮れる。そうなれば王都に帰還するのも難しくなるからな。」
日が出ている間はまだ良いのだが、
さすがに日が暮れてしまうと外周部分でさえも魍魎が蔓延るようになってくる。
そうなれば下山すらも難しくなって、
どこかで一晩明かすことになってしまうだろう。
「今日の調査は終わりにして王都に帰還しよう。」
「まあ、そうだな。親父がどうしてるのかは心配だが、俺達まで行方不明になってしまったら笑えないからな。」
(…ははっ。)
その通りだ。
「そうならないように撤収するぞ。」
「おう!」
父を捜すために訪れた六詠山だったが、
これ以上の調査は危険と判断して早々に下山することにした。




