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THE HANGED MAN  作者: SEASONS
プロローグ
30/499

鬼との死闘

(…まだ倒れないのか!?)



炎の中で立ち上がった鬼が咆哮を上げ続けている。



その行動がきっかけになったのかどうかは分からないけれど。


気が付けば炎の周囲に魍魎が集まろうとしていたんだ。



(…ま、まだこんなにいるのかっ!)



ここへ来るまでにも相当な量を倒したはずなのに、

それでも鬼の周囲に集まる魍魎は数え切れないほどの規模になろうとしている。



(…って、あれ?)



今になって気付いたけれど。


鬼との戦闘の間に魍魎が襲ってこなかった理由は何なのだろうか?



(…ん?…あれ?)



よくよく見てみると僕達の周囲には無数の魍魎が倒れている。



(…まさか!?)



他に理由がないと思って幻夜さんと八雲を見てみると。


二人は兄上と唯を守りながら、周囲の魍魎を迎撃していたんだ。



(…二人が守ってくれていたのか。)



だから立ち止まったままの僕も襲われずに済んでいたんだ。



(…これじゃあ、単なる足手まといじゃないか。)



勝てないとしても兄上は戦った。


守れないとしても唯は香澄様を庇った。



だけど僕は?



幻夜さんも八雲も戦っているのに。


僕は何も出来ずに立ち止まっている。



(…香澄様も不動さんも戦っているのにっ。)



僕だけは何も出来ずにいるんだ。



これではダメだ。


こんなことではここまで来た意味がない。


このまま何もせずにただ見ているだけなら、最初からここに来るべきじゃなかったんだ。



(…足手まといになるためにここに来たんじゃない!)



戦わなければ意味がない。


動かなければ意味がない。



(…黙って見てるだけじゃ、誰も救えないんだっ!)



勝てなくても良い。


負けても良い。


だけど逃げることだけは出来ない。



(…ここで逃げ出すくらいなら死んだほうがマシだ!)



大切な人を守れないのなら、生きている意味がない。


大切な人を守れないのなら、強くなる意味なんてないんだ。



「僕はまだ戦える!」



だから考えろ。


鬼の行動の意味は?


僕に出来ることは?



(…考えるんだっ。)



常に最善策を。


完璧な方程式を。



勝利条件は全員の生存と敵の殲滅だ。



(…現状で戦えるのは僕と香澄様と不動さんだけ。)



幻夜さんと八雲は戦力に数えられない。


二人まで戦力に加えると魍魎への備えが失われるからだ。



だから3人で鬼を倒すしかない。



そのための方法は考えている間にも、

不動さんの放った炎が徐々に消えようとしている。



これからどうなるんだろうか?


集結した魍魎はどうするのか?



(…考えられる可能性は吸収かな?)



魍魎を喰らうことで鬼が回復するか、あるいは強化される。


それが答えだと推測しておく。



だとすれば、わざわざ敵の行動を待つ必要はない。



(…だけど。)



おそらくは不動さんも同じことを考えているはずだ。


それなのに追撃しないことには何らかの意味があるはず。



(…あえて吸収させるつもりなのかな?)



その結果として鬼が強化されるかもしれない。


だけど敵の数が減ることによって対処の幅は広がる可能性がある。



上手くいけば敵が減って全員が攻撃に転じられるのかも?



そうなれば幻夜さんと八雲も戦力に加えられるのだろうか。


もしもそうなら作戦を考え直す必要がある。



(…考えろ。)



全力で考えるんだ。



敵が鬼一人なら総力戦に持ち込める。


だけど敵が複数なら戦力を分ける必要がある。



だからここは手を出さないのが最善のはず。



(…不動さんの考えを読め。)



それが最善解になる。



「ぐるるるぅぅぅぅぅぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」



一際大きな咆哮。


鬼の叫び声が響き渡った瞬間に不動さんの炎が消えた。



そして。



僕の予想通りに集結していた魍魎が全て鬼に吸収されていく。



(…ここからが本番だ。)



強化された鬼を足止めして不動さんに倒してもらう。


そのために僕に出来ること。



それは一つしかない。



(…みんなの盾となって鬼の攻撃を防ぐことだ!!)



「ぐるるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!!」


「僕が先行しますっ!!!」



不動さんの横を通り抜けて鬼に接近する。



「急々如律令!」



まともに戦えば時間稼ぎにもならない。


だから必死に逃げ回るんだ。



「呪縛!!」



たった1秒でも良い。


鬼の攻撃を回避する余裕さえあればいいんだ。



「僕が鬼を足止めします!その間にみんなで攻撃してくださいっ!!」



至近距離で鬼の攻撃を回避して時間を稼ぐ。


こんな無茶がいつまでも続けられるはずがないけれど。


僕に出来ることはこんなことしかないんだ。



「呪縛!!」



鬼の動きを束縛して攻撃を躱す。



(…くっ!)



一瞬の気のゆるみが即死に繋がると思うだけで体が震えてしまうけれど。


僕の努力がみんなの役に立てるのなら、そう思うだけで頑張れる気がした。



「呪縛っ!!」



何度目かの回避。


そうして時間を稼ぐ間に。



「…待たせたわね。」



香澄様が応援に駆けつけてくれたんだ。



「もう一度行くわよ!!」



組み上げた術式が展開されていく。



「法の名の下に!悪しき者に、死の捌きを!」



再び生み出される光の輪が鬼の体を拘束する。


その間に香澄様が僕の手を引いてくれた。



「さあ、離脱するわよ!」


「は、はいっ。」



香澄様に手を引かれるまま後退していく。


その直後に3方向から陰陽術が放たれたんだ。



「「「六星封陣!!!」」」



不動さんと幻夜さんと八雲。


3人の両手から生まれる金色の光が鬼の体を貫いた。



「ぐるるるぅぅぅぅぅぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」



苦しみもがく鬼。


それでも抜け出せない結界の内部で徐々に瘴気が薄れていく。



(…このまま弱らせることが出来れば。)



強化される前の状態に戻せれば勝てる可能性が出てくる。



(このまま…。このままで…。)



祈るような気持ちで見守る状況。


それでもダメなら次はどうしようかと考えていると。



「「「「「不動様っ!!!」」」」」



事態は良い方向へと動こうとしていた。









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