異常事態
ワタ村の異変に気付いた僕達は大急ぎで村に戻ってきた。
そして僕達が目にしたのは想像をはるかに超える異常事態だった。
「な、なんだこれはっ!?」
兄上が狼狽える気持ちは僕にも分かる。
僕でさえこの状況は理解が追い付かなかったからだ。
(…何が起きているんだ!?)
村が襲撃を受けているのは間違いない。
だけど敵は盗賊や犯罪者じゃないんだ。
(それどころか、人でさえないなんて…。)
村を襲っている『何か』
それはとても人とは思えない異形の存在だった。
(…ま、まさかっ?)
思い浮かぶ答えはただ一つ。
(…まさかこれが悪霊なのか!?)
無数の人魂と獣のような何か。
それら全てが瘴気を漂わせていて、呼吸が困難になるほどの腐臭を放っている。
「これが…魑魅魍魎の類なのですか?」
「ああ、そうだ。」
やっぱり、そうなのか。
不動さんが即座に肯定してくれた。
鬼の眷属であり、人の世に害をなす存在。
それらがこの村を襲っていたんだ。
(…だとすれば、もしかして?)
「まさかこの村に…?」
「分からん。だが油断はできん。」
鬼がいるのかどうか?
それはまだ不動さんにも分からないようだけど。
すでに鬼がいるという前提で考えているのかもしれない。
「瘴気が濃すぎて敵の規模が判断できないが、この村は王都から近いからな。30分もすれば援軍が駆けつけるはずだ。」
…30分か。
街道を警戒中の部隊か街道を利用している商人達のいずれかが王都に報告してくれれば即座に援軍が派遣されるはず。
「問題はこの村にいる陰陽師と俺達だけで30分を耐えきれるかどうかだな。」
そう。
そこが問題になる。
本来なら大規模な部隊を編成して挑むべき相手なんだ。
それをわずか数名で対処するのは難しい。
それこそ村を放棄するくらいでなければ生き残ることさえ出来ないのかもしれない。
(…援軍が到着するのが先か、それとも全滅するのが先か。)
どちらにしてもまずは香澄様と唯を救出しなければいけないんだ。
「ひとまず村の北側へ向かうぞ!」
「はいっ!!」
二人の救出に向かうために、
周囲の悪霊を迎撃しながら村の北部へ急ぐことにした。
前作では悪霊は出なかったのか?と聞かれそうなので、ここで補足。
この問題に関しては今作で解決するので、
前作に引きずることはなかったということになります。
完全な解決というわけではないのですが、
一時的にいなくなったと思ってもらえば良いかな、と。




