良からぬことを
「ははははっ!元気があっていいぞ。」
不動さんは笑ってくれていた。
「素直に好感が持てますね。」
「だな。俺も嫌いじゃないぞ。」
幻夜さんも八雲さんも好意的に受け取ってくれたようだ。
(…だけど。)
「陰陽術を学んで、一体何をするつもりなのかしら?」
当然のように母上は僕を敵視している。
「良からぬことを企んでいなければいいけれど…。」
「「「「「………。」」」」」
母上の発言に対して誰も何も言わなかったけれど。
たぶんみんな同じことを思ってるんじゃないかな?
兄上だけはどうか分からないけれど、
父上も不動さんも唯にしても何かを企んでいるのは母上だと思ったはずだ。
それでも何も言わないのは優しさだろうか。
まあ、母上は態度は厳しいけれど、だからと言って具体的に何かをするようなことはないからね。
僕を嫌っているのは明らかでも、
そのせいで何らかの実害があったということは一度もない。
それは単に父上を怒らせないためかもしれないけれど、
嫌がらせというほどの何かを受けたことは一度もないんだ。
それが分かっているから誰も何も言わなかったんだと思う。
(…実際にどうかなんて分からないけどね。)
他人の考えは分からないけれど、
僕が不動さんの教えを願ったことで兄上としても引けなくなってしまったのかもしれない。
「涼だけが特別な扱いはずるいだろう?涼がやるのなら俺も参加する。」
僕に続いて兄上も参加の意思を示していた。
「陰陽術の指導、是非ともご教授願いたい。」
「うむ。もちろんだ。」
僕よりも丁寧に礼儀正しく頭を下げた兄上の言動を見て、
不動さんは笑顔で引き受けていた。




