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THE HANGED MAN  作者: SEASONS
5日目
112/499

王子の帰還

大聖堂から帰ってきた僕は急いで王城に戻ってきた。


そして今後の方針を話し合うために唯と合流したんだけど。


正午が過ぎて2時も過ぎようとし始めた頃に、ついに運命の時が訪れようとしていたんだ。



「お、お兄様…。」


「ああ、どうやら兄上が帰ってきたようだね。」



周囲が騒がしくなってきたのが感じられる。


どうやら主治医からの手紙に書かれていたように、

午後になったことで兄上は無事に退院したようだ。



(…これで僕の役目は終わる。)



国王代理としての役目も。


アルバニア王国の王子としての役目も。


何もかもを失うと同時に、自由を手に入れられるはず。



(…これで良いんだ。)



王子としての立場に未練はない。


王城を追い出されるのも構わない。



ただ一つだけ心残りがあるとすれば、それは唯を残して行くことだけだ。



だけど地位も名誉も失う僕と一緒にいるよりも、

ここに残って王族としての生涯を受け入れるほうが幸せなはず。



(それに、おそらく…。)



僕は間違いなく王都から追い出されることになる。


状況次第では国外追放もあり得るけれど。


国王の不在時に代理になったというだけで処刑なんて…普通に考えればないはずだ。



さすがに兄上の判断だけで僕を処刑することは出来ないだろうから、ひとまず命に係わる心配はないと思う。


少なくともそれは唯が許さないだろうし、

杞憂さんや香澄様も擁護してくれるだろうから兄上でもそこまでは出来ないはずだ。



…ただ。



間違いなく処分が決定するまでの間は拘束されるだろうね。


それも自室での謹慎では済まないだろうから、

牢屋に閉じ込められる可能性だけは覚悟しておくべきだと思う。



(…まあ、仕方がないかな。)



そこまでの罪を犯したかと問われれば疑問しか感じいないけれど。


その程度の苦労で兄上の機嫌が直るのなら構わないと思うんだ。



それに投獄されたという事実が王位継承権を消失させる最大の理由になるから、

その時点で兄上の地位は確固たるものとなって僕への敵意は薄れるはず。



(だから出来る限り兄上の機嫌を良くして王都からの退去で済ませられるように心がけよう。)



その途中で大聖堂に寄り道できるように話を進められれば最善だ。


とにかく国外退去になることだけは避けたい。



もしもそうなれば不動さんと戦うことは出来ないし、

姿を隠して戻ってくるにしても一度は国外に出されることによって戦闘に参加するのが間に合わなくなってしまうかもしれないからだ。



そうならないように不動さんが動き出すまでは王都周辺にいる必要がある。


だけどそのためにはどうにかして兄上を説得しなければいけない。



(…ふぅ。)



上手くいくかどうかは分からないけれど。


それでもちゃんと話し合うために、

まずは兄上の帰還を祝うことにした。




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