2階の庭園
(………。)
あれからどれくらいの時間が過ぎたのだろうか。
正確な時間は分からないけれど。
まだ30分は経ってないんじゃないかな?
一応、お昼ぐらいまでなら大人しく待っていようと考えていたんだけど、
思っていたよりも早くに香澄様は戻ってきたくれたようだ。
「お待たせしましたっ。」
さきほどの修道女が僕を迎えに来てくれた。
「司教様が戻られましたので、涼王子様が来られていることをお伝えしておきました。」
「ああ、うん。ありがとう。」
「い、いえ、お礼なんてそんな…。」
少し照れくさそうに俯いている。
それでも彼女はしっかりと話を続けてくれた。
「今はお着替えの最中ですので、すぐにというわけにはいきませんが、まもなくこちらに来られると思います。」
そうか。
それならもう少しここで待とうかな。
わざわざ断る理由もないからね。
…ただ。
話の内容が内容だから結局、移動することになるとは思う。
「出来れば朝倉様と二人で話がしたいんだけど、どこか良い場所はないかな?」
「え~っと…それなら2階の庭園はどうでしょうか?」
ああ、なるほど。
大聖堂の2階のテラスには庭園があるんだけど、
そこは香澄様が趣味で手入れをしている場所だから他の人が近づくことは滅多にない。
それでも3階より上の階から見下ろすととても丁寧に手入れされた綺麗な庭園が見えるということで、大聖堂の関係者からはとても人気のある場所になっているそうだ。
(…まあ、あの場所なら良いかな。)
余計な邪魔は入らないだろうからね。
「それじゃあ、僕は一足に向かわせてもらうよ。」
「あ、はい、分かりました。それでは司教様にはそのようにお伝えしておきます。」
「うん。よろしくね。」
改めて連絡をお願いをしてから、
香澄様の庭園に向かうために階段を上ることにした。




