82/87
刀◯ノ巫女
「これでおしまいかと思ったら大間違いだからね! 私にはまだ別の武器があるの!」
真依子は再び帯に手を突っ込むと,今度は,白い紙がジグザグに折られたものが2枚先端にくっついた棒を取り出した。
「巫女の武器その2。御幣よ」
「…ごへい?」
「そう。神社でよく見るでしょ?」
「たしかに見るかもしれないけど,あんた,その武器で私をどうする気?」
「…それは考えてない。ただ,巫女服に合うかな,って」
「あんたバカ?」
自らの名前を意識したのか意識していないのかは分からないが,明日香が言う。
「いいじゃん! 可愛いは正義なんだよ!」
「そんなことを言っているファッションモデルは,だいたい30代40代になって全てを失うのよ」
具体的に誰をイメージしているのかは分からないが,明日香が言う。
「『巫女の武器』っていうから,てっきり刀剣が出てくるかと思ったじゃない」
「私,あんまり詳しくないけど,明日香さん,深夜アニメの見過ぎだと思うよ」