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巫女の武器
「倉田さん!」
突然声を上げると,明日香は病室のもっとも奥にあるベッドに向かって駆け出した。
「倉田さん,大丈夫!? 痛い? 苦しい?」
明日香は相当慌てた様子である。もしかしたら倉田さんは危篤かもしれないが,どちらにしろとっくに死んでいる。
しばらく冷ややかな目で観察していた真依子だったが,ふと今がチャンスだと気付く。看護に夢中になっている明日香をそーっと背後から襲い,気絶させて無理やり神社まで運び込んで祈祷を行う。もはやこれ以外の方法はない。
真依子はバレないようにそーっと明日香の背後に迫った。
そして,事前に準備しておいた「巫女の武器」を帯からそーっと取り出し,そーっと振りかざした。
その途端,明日香が振り返った。
「あんた,何するつもり!?」
「え? なんでバレたの? めっちゃそーっとやったのに!」
「シャンシャンうるさいからバレるに決まってるじゃない!」
「うぅ…やっぱり鈴は武器に向かないのね…可愛いのに…」