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儀式
「巫女になる、ということは神様に身を捧げる、ということなんです! 巫女の格好になれば巫女になれるというわけではないんです!」
「ふーん、じゃあ、巫女装束は着なくていいんだ」
「いいえ。巫女装束はマストです。絶対に着てください」
「それって、あんたの趣味じゃないよね?」
真依子がスーツ姿の男性に怪訝な目を向けると、男性は咳払いをした。
「まあ、巫女装束はいずれ着てもらうとして、その前に神に身を捧げる儀式が必要ですね」
「儀式? お祓いでもするの?」
「その必要はありません。一般的な女性と違い、あなたは処女なので、身の穢れを落とす必要はありません」
「褒められてるのかディスられてるのか分からないんだけど」
「とにかく、早く儀式を始めますよ」
「その儀式をこなせば8万円ゲットね。何すればいいの?」
「この紙にあなたの名前を書いてサインをしてください」
「『婚姻届』って書いてあるけど」
「そうです。これで神と結婚してください」