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平気

 結城君の抵抗虚しく,結城君と真依子は個室トイレの狭い空間で2人きりとなった。



「ドキドキするね♡」


「…違う意味でな」


 結城君の顔は冷や汗でビッショリだった。



「あっ! 結城君,そういえば,クリスマスはどう過ごそうか? 結城君,イルミネーションが見たいって言ってたよね!」


「いや,言ってない。というよりそもそも,三郷とクリスマスを一緒に過ごす約束なんてしてない」


「原宿でクレープを食べて,青山でイルミネーションを見て,それから渋谷に行ってホテ…」


「話を勝手に進めるな! 俺はその日,別の用事があるんだ!」


「別の用事?」


「その…」


「別の子とのデートの予定だったら,気にしなくて平気だよ」


「『平気』ということは,別の子とのデートを優先して,三郷は身を引いてくる,っていう意味か?」


「ううん。相手が誰か教えてくれたら,当日までに私の方で処分しておくから,予定はバッティングしない,って意味」


「真顔でヤバいこと言うなよ…」

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