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口寄せ
ジェームスの攻撃によって，笠井は完全ノックアウト状態で，目には星がクルクルと回っていた。
明日香は鳥居を潜り，下り階段へと足を掛けようとするところだった。
「三郷，頼む！ 俺の姉を止めてくれ！」
「頼む，って言われても，私，か弱い女子だし，幽霊なんて怖いものと戦うなんて…あっ！」
「おお！ 三郷，何か閃いたのか？」
「ええ。私，実はただのか弱い女子じゃないの。巫女なの。巫女は古来よりシャーマン的な存在なのよ」
真依子は腕を組むと，えへんと喉を鳴らした。
「も…もしかして，三郷，死者を口寄せすることができるのか？」
「ええ。もちろん」
真依子は手を合わせると，お経を唱え始めた。
「自帰依仏当願衆生体解大道発無上心…」
篤志が固唾を呑む。
「出でよ！ 下ネタ神！」
「わしか！？」
名前を呼ばれた神様が，本殿の辺りから慌てて飛び出してきた。
「下ネタ神，ジェームスをやっつけなさい！」
「いや，無理じゃから！ わしは幽霊じゃないから！」
