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浮気のライン
「ねえねえ、神様、お願い。私、あなたのことすごく頼りにしてるの」
真依子は上目遣いで神様をジッと見た。
「可愛…」
一瞬ニヤけそうになった頬を、神様は自分自身の手で叩いた。
「いやいや、お嬢ちゃん、手のひら返しも甚だしいぞ。昨日、若いお兄ちゃんと浮気しとったじゃろ? わしはあの件を根に持っとるからな」
「浮気? はて何のこと?」
「とぼけたって無駄じゃ。わしはお嬢ちゃんが若いお兄ちゃんと手を繋いどるところをハッキリ見とったからな」
神様の追及に対して、真依子は涼しい顔で切り返した。
「まさか手を繋いだら浮気だって言いたいの? それくらい許容してよ。小学生じゃあるまいし」
「いいや、ダメじゃ。わしの中では手を繋ぐのはNGじゃ。異性を手を繋ぐだなんて下心があるに決まっとる」
「えーっ! 束縛厳し過ぎ! 手を繋ぐのがNGだったら、はないちもんめも手つなぎ鬼もできないじゃん!」
「できなくてもよいじゃろ! 小学生じゃあるまいし!」




