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自信
3階の教室に至る階段を登りながら、真依子は首を傾げる。
「結城君、どうしちゃったのかな? やっぱり学校だと照れちゃうのかな? それとも、朝は寝癖があるから私と顔を合わせたくないとか…」
「シンプルに真依子のことが嫌いなだけだよ。そんなことより、真依子、今日の試験は大丈夫なの? 少しでも勉強した?」
美雨の問いかけに対し、真依子は白い歯を見せた。
「勉強は全然してない」
「じゃあなんでそんなに笑顔なの? バカなの?」
「バカじゃない。勉強時間はゼロだけど、今日の試験対策はバッチリなの」
「その明白に根拠のない自信はどこから湧いてくるのかしら?」
「私には神様がついてるの」
「神様? まさか神頼みで鉛筆をコロコロ転がして回答する気?」
「そんなわけないじゃん」
「じゃあ何を転がすの? 消しゴム?」
「美雨、私のことバカにし過ぎ。今日の試験で見返してやるわ。私は神の力を持ってるの。覚悟なさい。フフフ…」
「バカと狂気って紙一重ね…」