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デート
真依子は結城君の手をギュッと握りしめる。
結城君は細身だが、掌はがっちりしていて男らしい。
「結城君、デートに行きましょう」
「え!? 巫女さんとデートだなんて夢みた…ゴホン。ゴホン。失礼。三郷、デートしよう」
「今本音が出ましたね? 全然咳でごまかせてませんでしたよ?」
「黙れ! 結城君が、実は巫女フェチで、本当は私のことは嫌いなのに、私が巫女の仕事をしているからという理由で私に接近してきて、私とデートまでするような悪い人なわけないじゃん!」
「真依子様、図星みたいです。結城さん、めちゃくちゃ冷や汗かいてます」
笠井が遠い目を向けると、結城君は再び咳き込んだ。
「こんな巫女フェチは放っておいて行こ? あ、私、その前に私服に着替えてくる」
社務所に向かおうとした真依子の手を、結城君が引く。
「巫女服のままでいいよ。赤袴、すごく似合ってる」
「本当!? 嬉しい♡」
「さっきまであんなに赤袴嫌がってたのに…」
「黙れ巫女フェチ」