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ヒーロー登場
渋々赤袴に履き替えた真依子は、不機嫌さを露骨に出しながら境内を箒で掃いていた。
抗議の意を込めて、先ほどから笠井目掛けてわざと砂埃を立てているのだが、笠井は目に砂が入っていることにも気付かずに、巫女装束の真依子に熱視線を送り続けていた。
その様子に真依子は苛立ちを増幅させた。
そんな最悪な1日が、たった1人の来客によって突如として輝きに満ちた。
「結城君!」
鳥居の向こうに見える凛々しい御顔。間違いなく結城君だ。
真依子が放り投げた箒が石壁にぶつかってバキッと鈍い音を立てた。
でも気にしない。だって結城君が私に会いに来てくれたんだから。
「誰ですか?」
「彼氏」
「かかかか彼氏!!?」
驚きのあまり笠井の声が裏返る。
「そうだよ。クラス1のイケメン結城勇気君」
「ゆうきゆうき?」
「うん。素敵な名前でしょ。すごく勇敢そうでしょ」
「『げんきげんきノ◯タン』みたい」
「結城君disる気? 殺すよ? 私、神社で殺生しちゃうよ?」




