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お土産
修学旅行の最終日、結局なんだかんだでずっと一緒にいた美雨と別行動をとり、真依子は一人でお土産屋さんを巡っていた。
「やっぱり京都といえば八つ橋だよね。ご近所さんに配ろう」
真依子は長四角の箱を4つほど手に取ると、買い物カゴの中に入れた。
「わあ、この手ぬぐい超かわいい! ママに買ってあげよう!」
真依子が迷わずカゴに放ったのは、自己主張の激しいクリスマスカラーの手ぬぐいだった。わびさびの欠片もない。
「パパには……あった」
真依子は油取り紙に手を伸ばす。
「笠井さんには、伏見稲荷大社に行ったときに巫女のブロマイドを買ってあげたし…」
真依子はふいに誰かからの視線を感じたが、それをすぐに意識の外に追いやった。
「さて、お土産はこれで全部かな」
真依子は先ほどよりもさらに露骨な視線を感じた。
「ちょっと、下ネタ神! そんなジト目で見ないでよ!」
「わしの分のお土産は…?」
「買うわけないじゃん! 一緒に京都にいるんだから!」